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2014/02/27

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「向こう」で見え隠れする急所.

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いつものようにそこを突いて行け…という誘いと
引き返せなくなることへの躊躇い.

やがて迫られる判断.
そのために与えられた時間も材料もあまりに少なくて.

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だけど時間も材料も、そして準備も
何も与えられていないのは「向こう」も同じではないのか.
そうして来たのは、他の誰でもない自分自身ではないか.

互い何も与えられはしないまま
「初動」の現場ではいつも、そんな怖さがつきまとう.

前回では「衝動」というものの持つ意味を書いてみました.
その上で今回は「初動」です.

「衝動に駆られて」..では試しに撮ってみましょうか…
というところまでは、案外すぐに届くものだったりもして

何者かになるのか、何でも無く過ぎるのか
ここから何かを創って行こうとするとき
入り口で迫られる「初動」っていうものは
「衝動」とは違いただ「駆られた」というだけでは済まない
それはあらゆる意味での「覚悟」みたいなもの.

写真ていうカタチに残すのにあえて見たくないものや
見せたくないものを晒す必要もないし
わざわざ厳しいところを選ぶこともない.
そんな当たり前のことの、シンプルな恐ろしさ.

いつものことながら「新作」という入り口に立って
これから先、そこで起こるだろうことや
一つの作品として結実するまでの相互のダメージ…
構成に至るまでの経緯とその苦心惨憺を思うと
写真ていうのをいつまでやってもそこからは怖さを感じます.

想い、切なさ、痛み…いつものようにこうして撮れば
こういう結果が出て、こんな作品になる…
みたいな黄金パターンなど存在してなくて.

「作品から優しさも感じられ始めましたね」
「被写体を大事にしているのですね」

いつしか聞こえ始めたそういう言葉の持つ甘い感じに浸って
僕は少なからず「覚悟」というものを
侮っているところがあったのも正直なところでした.

僕自身の作品から感じて、得てもらえた「覚悟」を前に
自分自身がそれに圧されそうになる.まさかそんな時間が来ようとは.

新しい作品の、新しい展開…

「覚悟」を迫られるその入り口で
何も与えてはもらえないまま
茫然と立ち尽くしてしまっているのは、「向こう」ではなく
いつの間にか「こっち」の方だったと…

作品から感じられる優しさなんていうものは
後から取って付けたような結果であって、
最初からそれを求めようとすべきものではなくて

そんな甘くて緩いものよりもう少し先、もう一段上に行けてこそ
感じられることが確かに在って.

これだけの何かを与えたから、その分だけ何かを与えてもらえた..
そういう物差しで作品というものを計算していけたなら
それこそもう少し楽な黄金パターンもあったかもしれない.

だけど結局のところ僕はこうして
互い何も与えたり、与えてもらえたりはしない寒い場所で
破壊しあうのか共存するのかを取捨選択しながらの現場にいて
そこで手探りで撮っていくことしか出来なくて.

「いつものように」「今まで通り」から外れる、逸れること
そんな、今まで「向こう」に一任してきたことを
今度は僕が「こっち」側でそうすることを迫られているのではないのか…

それはもしかすると、今までやって来たどんな撮影よりも
もう一段高い、或いは深いところへ入り込んで
撮ろうとしていることなのではないか…と思ったりもしていて.

新作を撮る怖さ…とりわけ初動という時間で感じる
残酷な感覚と、長くもあり短くもある冷たい沈黙.

こんな恐ろしいところに長い間置きっぱなしにして来たのかと
今更のように恐れ戦きながら、それでもその先へ行こうとしていること.

いつだって知ってしまうことは怖いけれど
何も知らないままでいるよりはずっと良いと思うから.

この先どうなるかなんてまるで見えないままの撮影から
現実感も何も無かったように思うけれど、
テストとしてA4判に引き延ばしたその日の写真プリントを、
大切そうに抱えて家路につく背中..印象に残るのはそんな姿で.

それは今までの僕だったら見えない、気が付かないだろうこと.
もしかしたらそれに気が付ける自分になれるかもしれないこと…

何かを欲して与えてもらえたり
何かに対して安堵したりするような
そんなことのために「向こう」で起こることを
撮り、展示をやるのではないということ…

そのことがほんとの意味で次作へ、新作へ…
という道筋を拓いてくれるのではないか.
そんなふうに感じています.

そのためにこそ「向こうとこっち」
どちらがいつ果てても仕方ないような、
そういう場所に互い身を置いて来たのだと.

たぶん、これから先も.

2014/02/27 05:31 | アート, 未分類 | No Comments

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