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2016/04/14

相変わらずに遅筆につき、昨秋のブータン出張記が滞っております。もう3月に新たに出張に行ってしまったのだが、それも含めて、鋭意執筆中、ということで平にご容赦いただきたく…。

取り急ぎ、さくっと書けそうなサッカーの話題でも提供しようと思う。昨夜、抽選会が行われた、サッカーワールドカップ・アジア最終予選の組み合わせ。日本代表は、オーストラリア、サウジアラビア、UAE、イラク、タイと同組に入った。上位2ヶ国が自動的に本戦出場決定、3位の場合は大陸間プレーオフに回ることになる。

ところで、もうすっかり記憶の彼方かもしれないが、先の二次予選に、ブータン代表がはじめて進出していたのを覚えているだろうか。このコラムでも、何度か取り上げているように、2015年は、ブータンのサッカー界にとっては忘れられない一年になった。残念ながら、日本と同組に入らなかったため、対戦のチャンスは逃してしまったが、ブータンはブータンで、強豪ひしめく中、奮闘を続けていたのだ。

110.ブータン代表、実に12年ぶりの「公式戦」に挑む!?
112.ブータン代表、歴史的勝利詳報(前)
113.ブータン代表、歴史的勝利詳報(後)

遡ること1ヶ月前。2016年3月29日。アウェイでの対モルディヴ戦を終え、ブータン代表のサッカーW杯アジア二次予選での戦いが全て終了した。戦績は、0勝 8敗(勝ち点0)、得点5 失点52(得失点差 -47)のグループ最下位だった。ちなみに、別グループではあるが、日本代表は、7勝 1分(勝ち点22)、得点27 失点0(得失点差 +27)のグループ1位だった。

酷い成績、といえばたしかにそうだが、そもそも、二次予選に駒を進めたところからして、ブータンとしては史上初の快挙だったわけで、それ以上を求めるのは酷というものだろう。

ちなみに、筆者は、2015年11月17日、ブータンの首都ティンプーにあるチャンリミタンスタジアムで、ブータン対カタール戦を生観戦していた。その前々月、9月にアウェイで15-0という歴史的大敗を喫した相手との再戦ということで、「果たして何点取られるのか…」という不安しかなかったことを思い出す。

公式チケット(価格はNu300=約600円)

公式チケット(価格はNu300=約600円)

代表戦でよくあるデカい国旗

代表戦でよくあるデカい国旗

もちろんお坊さんも観戦に来ている

もちろんお坊さんも観戦に来ている

無料配布された応援グッズ

無料配布された応援グッズ

観客席の様子(ユニフォームは着ないのがブータンスタイル…?

観客席の様子(ユニフォームは着ないのがブータンスタイル…?

まもなく試合開始

まもなく試合開始

カタールのフリーキック

カタールのフリーキック

試合後のスタジアム前

試合後のスタジアム前

結果は、0-3で敗戦。しかし、前半は0-0で持ちこたえるという、全く悪くない、むしろ奇跡とも言える結果に終わった。


一方、奮戦の陰で、今回の予選の最中に、ブータン代表監督の解任問題が浮上していたことを、ご存知の日本人がどれだけいるだろうか。しかも、その解任された監督というのは、実は日本人であった。

当時、さりげなく朝日新聞が、解任報道を伝えていたので引用してみよう。

サッカーのブータン代表の築舘範男監督(55)が解任されたことが27日、分かった。ブータンはワールドカップ2次予選C組で5戦5敗の最下位。9月の3戦目のカタール戦は0―15で敗れ、10月8日の4戦目のモルディブに3―4で敗れた後に解任されたという。
築舘監督は今年3月、当時世界ランク最下位ながらW杯アジア1次予選を突破したブータン代表監督に就任し、2次予選から指揮を執っていた。今回の解任について「事情を話すことはできない」としている。
http://www.asahi.com/articles/ASHBW6GZ2HBWUTQP027.html

たしかに、ブータン代表は、結果的に、二次予選で勝利はおろか、引き分けさえない勝ち点ゼロに終わった。が、何度も言うように、ブータン代表にとって、この予選は、結果を求める場ではなく、経験値を積む場、それ以上でも以下でもなかった、と考えるのが妥当だろう。ちょっと前までFIFAランキングで世界最下位だった国が、いきなり、二次予選とはいえ、ワールドカップ予選で善戦できるほど、世界のサッカーは甘くはない。

当時のFacebook上での議論を見てみると、「あんな酷い負け方は恥だ」と監督を責める発言もあれば、「誰がやっても同じ結果になった」と監督を擁護する声もある。日本では、負けが続けばこんな世論が展開されるであろうことは想像に難くない。ただし、繰り返すようだが、ここはブータンなのだ。ブータン国民は、サッカー観戦が大好きなので、ヨーロッパを含めて、世界のサッカー事情には明るいはずなのだが、どうやら、彼らは目が肥え過ぎてしまっているらしく、自国のサッカーに求めるものが随分と過剰な期待にすりかわっているきらいもある。

が、世論が解任に傾いたために解任されたわけでも、敗戦の責で解任されたわけでもなく、監督がブータンサッカー協会と揉めたことが引き金になったらしい、というから、事態は少しばかり複雑だ。揉めた原因については、監督側は沈黙し、協会側は協会の非を認めていないので、結局のところ、真相は闇の中なのだが…。

一応、地元紙Kuenselが伝えた、解任の速報とその続報についてリンクを貼っておくので、興味のある方は参照されたい。
http://www.kuenselonline.com/head-coach-norio-tsukitate-sacked/
http://www.kuenselonline.com/head-coach-norio-wanted-to-leave-bff/
http://www.kuenselonline.com/more-than-a-game/


個人的には、ブータン代表の今回の二次予選参加は、文字通り、「参加することに意義がある」段階だったと見ている。たぶん、これまでのサッカー・ブータン代表のことを少しでも知る人は、同じ意見だろうと思う。

2018年ロシアワールドカップに向けた旅は終わったが、2019年アジアカップ、そして、2022年カタールワールドカップへ向けた新たな戦いは続いていく。考えてみれば、日本でさえ、ワールドカップ初出場は1998年のフランス大会だった。あれから、まだ20年も経っていない。ブータンは、ちょっと気が早すぎる夢をみてしまった、といったところだろうか。

ブータン代表がワールドカップに出場する日が、生きているうちに訪れるのかどうか定かではないが、気長にそんな夢をみるのは悪くない。そんなことを思わされたこの1年だった。

2016/04/14 12:00 | ブータン | No Comments

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