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2011/02/02

いま、中東がアツい。
何がって、残念ながら、アジア杯優勝の話ではない。

そう、エジプト政変の話だ。

いや、実際のところ、アジア杯で日本が大盛り上がりのその裏で、
中東各国は、その火消しに躍起になっていた。

正直言って、政治にはあまり関心が無いのだが、
この話、食い付きポイントは、インターネット発、という部分にある。

そもそものきっかけは、
エジプトと同じく北アフリカに位置する、チュニジアの政変。
1人の若者の焼身自殺が、革命の口火を切ったと言われている。

本来、イスラム教の戒律では、自殺はタブー中のタブーだ。
しかし、禁忌を犯してまで、生活の困窮を訴えた若者の姿が、
携帯メールなどを通じて国中に発信され、怒りの声が上がり始める。

やがて、Facebookをフックに、抗議デモの時間と場所が通知され、
火種は瞬く間に、独裁政権を呑み込んだ。

厳しく言論統制が敷かれた独裁国家の多い中東諸国では、
こうした革命の形態など、もちろん初めてのことであり、
それだけでも、近隣諸国は戦々恐々となっていたのだ。

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そこへ来て、今回の一件は、エジプトへと飛び火した。
まだ現時点では、その決着を見ていないのだが、
どうやら、30年に渡るムバラク政権の打倒は時間の問題のようだ。

エジプトでも、やはり「ソーシャルネットワーク」が力を発揮した。
奇しくも、同タイトルの映画が絶賛上映中というのだから、
どうにも話が出来過ぎている気がしなくもない。

ちなみに、残念ながら筆者はまだ同映画を見ていない。
見ておいた方が良さそうな気はしているのだが、
どうにも、「全米大ヒット」な類の映画への拒絶意識が拭えない。

それはそうと、エジプト政府は、対抗策として、
まず、twitter、Facebookへのアクセスを遮断。
次いで、全てのインターネット接続を遮断するに至った。

あからさまな言論統制に打って出たわけだが、それも最早、後の祭り。
火の点いた群衆は、そう簡単には止まらない。

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ここへ来て、続々とインターネット発の革命が起きつつあるわけだが、
さて、果たしてインターネットに、本当にそんなパワーがあるのか。

これまたタイムリーなことに、
1月25日発売の『クーリエ・ジャポン vol.076』に、
「“つぶやき”では革命は起こせない」という記事が載った。

発売時期から言って、中東の政変が起こる前に書かれた記事であろう。
あるいは、政変後に書いたのだとしたら、その勇気に感服したい。

いずれにせよ、そこに書かれていた論調はこうだ。

フェイスブック流の社会運動が成功するのは、
「多大なる犠牲を払ってもいいから、その運動に参加しよう」
というモチベーションを人々に与えるからではない。
むしろ、そうした大きな犠牲を払うのは嫌だという人に対し、
さほどのモチベーションがなくてもできることに取り組もう、
といったことを薦めるのだ。(Malcolm Gladwell)

たしかに、犠牲を払う人がいなければ、革命に火は点かない。
焼身自殺という、壮絶な死が無ければ、今回の革命は起きていない。

また、社会運動の成功には、
ヒエラルキー構造や、キング牧師のような指導者が不可欠だと指摘し、
インターネットを基盤としたネットワーク構造では弱い、
という論法にも一理ある。

ただ、この論は、旧来型の革命と、SNS型の革命、という
極端な二元論で物を語り過ぎだろう。

SNSはマッチ箱のようなもので、誰でも簡単に火を点けることができる。
これまでの社会運動のように、いきなり火炎瓶に火を点けるところから、
というやり方に比べて、はるかに敷居は低くなった。

まず、大きな犠牲とともに、革命の最初の産声が上がる。
SNSがそれに火を点け、徐々に広がり、各地でデモが発生。
そして、指導者として、ノーベル平和賞受賞者のエルバラダイ氏を擁立。
と、双方の型を取り入れた、ハイブリッド型の革命が完遂しつつある。

無論、まだまだ予断を許さない状況ではあるので、
あくまでも、2011年2月1日現在のコラムとしてお読みいただきたい。

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さて、インターネットが登場して間もないころ、
しきりに、インターネットは民主主義的であると叫ばれた時期がある。

多対多の通信を可能にしたことや、
情報という力を民衆に与えたことなどが、その根拠に挙げられていた。

たしかに、今回のケースが示しているように、
言論統制を敷かれている国において、それは有効に働く面が大きい。
インターネットが巻き起こした民主化革命として、
長く世界中で記憶されていくことになるだろう。

だが、そのことは、インターネットが「革命」を促すキーとなっても、
「民主主義」を推進するアクセルになることを示してはいない。

果たして、インターネットは、民主主義にどう作用するのか。
あるいは、あくまでも中立的な技術であり続けるのか。
そのあたりの話を、次回、もう少し突っ込んで考えていきたい。

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LINKs

Anger in Egypt │ Al Jazeera English
http://english.aljazeera.net/indepth/spotlight/anger-in-egypt/

#egyjp(日本語) │ twitter
http://search.twitter.com/search?q=%23egyjp

2011/02/02 12:00 | 情報科学, 雑記 | No Comments

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