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2013/04/30

宮城県気仙沼市。
人口約7万人。宮城県の東北部、岩手県に隣接する港町。

この地域を訪れるようになって、2年近くが経とうとしている。
初めての訪問は、2011年6月だったと記憶している。

あの震災がなければ、もしかしたら、一生訪れることのない場所だったかもしれない。
今回の訪問は、そんな思いを抱えながら、街を歩くことからスタートした。

—–

さて。
いま、の話をする前に、まず、なぜ気仙沼をたびたび訪れることになったのか、
その話からせねばなるまい。
おそらく、JunkStageでは、これまでそのことについて、口を閉ざしてきた。

あえて話題にしなかったのか、それとも、たまたまなのか。
たぶん、前者だと思うが、その理由は、自分の中でもはっきりとしていない。
自分のやっている活動を上手く説明できないもどかしさであったり、
現場の、いままさに直面している課題であるがゆえに、公にできないことであったり、
そういう理由で、そういう理由をつけて、避けてきたのだと思う。

いずれにせよ、いくつかの偶然が重なって、あの日、気仙沼の地を踏むことになった。
それだけは確かなことだ。

震災からわずか3ヶ月後の気仙沼へ、実家のある仙台から、バスで3時間。
降り立った場所は、海から少し離れた気仙沼駅。
かすかに潮の香りがするものの、見渡す限り、山に囲まれた街の風景が広がっていた。

第一印象は、海の街、というよりも、山の街。
地震による多少の被害はあっただろうが、多くの家屋はその原型をしっかり留めていた。
しかし、そこに流れる、人気のない、静かな重苦しい空気。

ゆっくりと、海に向かって歩みを進める。
駅前通りから、市役所前通りを抜けて、商店街の角を曲がった瞬間、

景色が一変する。

津波の爪痕、と一言で片付けるには、あまりにも、痛々しい街の姿が、そこにはあった。

崩れかけた家々。
冠水した道路。
捻じ曲がった電柱。
打上げられた漁船。
鼻を突く腐臭。

既に、仙台市内で、津波の被害に遭った場所を見ていたから良かったものの、
もし、初めてあれを見ていたなら、そのまま、踵を返してしまっていたかもしれない。
正視できない現実が、いまでも時折、脳裏に甦ってくる。

外から来た、しかも3ヶ月も後に訪れた自分ですらそうなのだから、
あの日、あの場所で、そのときを迎えた人々の、目に焼き付いた光景は、
胸を掻きむしるほどの痛みとして、深く刻まれているのだろう。
そして、それは、2年経ったいまでも、決して共有できない大きな溝になっている。

—–

そもそも、気仙沼に関心を持ったきっかけは、
自分の所属する研究室の担当教授の一言だった。

「今回の被災地で、どこかひとつ、(支援活動を)やるとしたら、気仙沼だろう」

教授自身、それは直感に近いものだった、と思う。
多くの場所がダメージを受けている中で、
とはいえ、こちらの持つリソースは限られている中で、
どこに手をつけるべきか、選択肢はたぶん、無数にあった。

自分たちができることと、かの地が求めていることとが、
上手くマッチしなければ、支援活動というものは本来成り立たない。
その意味で、その後、2年間に渡って活動を続けられていること、
それ自体が、気仙沼を選んだことが間違いではなかったことの、一つの証明だとは思う。

しかしながら、それらが本当に繋がっているかどうかは、実のところよくわからない。
彼らの痛みが共有できないように、彼らの望みもまた、本当の意味では共有できない。
どこまで行っても、自分たちのやっていることは、自己満足の域を出るものではない。

昨年1年間、活動を続ける中で出会った多くの支援者たち、
とりわけ、学生のボランティアたちは、口を揃えて、
「ボランティアとはなにか」を、あるときから猛烈に思い悩みはじめていた。

それはきっと、上述の問いに対して、上手な回答が出せずにいたからだろう。
真剣に現地と向き合っていればいるほど、自分の行為が彼らの為になっているのか、
気になってしまう気持ちがわからなくもない。

ただ、誤解を恐れずに言えば、
個人的には、気仙沼での活動は、「趣味」でやっているのだと思う。
そして、今回の訪問では、その認識を改めて深めることになった。

(続く)

2013/04/30 12:00 | 大学院生活 | No Comments

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