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女優・帯金ゆかり。
舞台に立つ彼女が教えてくれた、”一人旅”の意味。
*
9月某日。
藤原整(フジワラヒトシ:JunkStage裏方担当)は新宿歌舞伎町に居た。
怒号と歓声うずまくネオンの下で、束の間の腹ごしらえ。
「この芝居はお腹がすくから、なにか食べといた方がいいよ」
思えば、正常な思考回路であれば、上記のアドバイスはなにかおかしいことに気付いたはずだった。歌舞伎町という土地柄が、思考を鈍らせたのか。あるいは…
とにかく。
芝居の幕があがる。
芝居のタイトルは『彼のことを知る旅に出る』
主人公は、死んでしまった彼のことを知る旅に出た一人の女性。
観衆は、彼のことを知る旅に出た、彼女のことを知る旅に出る。
彼女は旅の途中、帯金ゆかり演じる”るみ”に出会う。
そう。これは、彼のことを知る旅に出た彼女が出会う、帯金ゆかりという女優を知る旅でもあった。少なくとも、フジワラヒトシにとっては。
芝居のパンフレットに目を落とす。
ゆかり嬢の自己紹介コメントにはこう書いてある。
「一人旅が趣味なのですが、いかんせん心臓が小さめなので行けて阿佐ヶ谷くらいまでです」
役者としてのゆかり嬢の演技の巧拙は、正直よくわからない。
天才的でもあり、ありのままでもあった。
素人目には、ありのままであることがとても素晴らしいことのように思えた。
ひとつひとつの構成や、ひとりひとりの演技に難癖をつけることにたいした意味はなくて。むしろ、ありのままをありのままに受け入れることで、彼女の旅の意味を、彼女が出会うゆかり嬢の存在を、自分の中で消化しようとしてみた。
ふいにフラッシュバック。
芝居のさなか。
あるとき自分が「彼女のことを忘れる旅に出た」ことを思い出す。
卒業旅行を兼ねた、南米一人旅。
なんとなくセンチメンタルで。それでいて半ばヤケクソで。
地球の裏側まで行けば、なにかわかる気がしていた。
一人旅に特別な意味を求めたい年頃だった。
結果。
マチュピチュ遺跡を前にして、4時間泣いた。
元カノのこと、フラれたあの娘のこと。忘れたい思い出が溢れてきた。
こんなとこまで来て何してんだと思って、また涙が出た。
で、iPodの電池が切れて、お腹がすいて、山を降りた。
忘れようとすることは、結局知ろうとすることだったと、後になって思った。
特別なことをすれば忘れられると思った自分が、ちょっと微笑ましく思えた。
翻って、今。
帯金ゆかりに出会って。
彼女のことを知る旅に出て。
ぶらりと中央線で阿佐ヶ谷まで行くことも、立派な一人旅だと知った。
そこに特別な意味なんかなくても。
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帯金ゆかりのことをさらに知るためには↓へどうぞ。
■ペテカン「彼のことを知る旅に出る」公式サイト
http://www.petekan.com/next/index.htm
■帯金ゆかり「ナマモノ一辺倒」
http://www.junkstage.com/art/yukari/








