2011/10/01

みなさんこんにちは。

 

今日, 新宿の世界堂へ買い物に行きました。

小学校の頃からお世話になっている 画材屋チェーンの大きな店舗。

つい 上から下まで全部回りたくなってしまう危険な場所です…

先月帰国後初めて訪れたとき びっくりしたのがST(世界堂チケット)の配布サービス。

(…浦島太郎です。。いつ始まったのかしら)

世界堂カードを会計時に使うと 合計金額の7%分の買い物チケットをバックしてくれる…

ただでさえカード会員は20%も割引になるのに

こんなサービスして大丈夫なのかしらと思ってしまうほどの 気前の良さ。

何にしても 消耗品を買い続ける側としてはありがたい限りなのですが。

 

さて その世界堂でレジに並んでいる時, 懐かしい物を目にしました。

それは“CASS ART”(カスアート)というお店の手提げ袋。

後ろに並んでいる方が, サブバックとして持ってらっしゃいました。

これは, ロンドンの画材屋さんの手提げなのです…。

懐かしくなって 思わず声をかけてしまいそうになりました(笑)

 

世界堂の規模には遠く及ばないのですが CASSはロンドンでは大きなチェーン店。

赤い看板に黒と白で書かれたロゴがトレードマーク。

LET’S FILL THIS TOWN WITH ARTISTS(この街をアーティストでいっぱいにしよう!)が店の標語になっています。

なかなか素敵です。

この支店はPiccadilly Circus の近く,Berwick Streetにあるお店。

Sohoという繁華街にあって, わたしの大学からも徒歩圏だったのでずいぶんお世話になりました。

右下に張ってあるのは割引のおしらせシール。

このシールが貼られると 水彩画用の画用紙をまとめ買い…。

 

ちなみにこのBerwick Streetは, 中古のCDやレコードのお店, それに手芸用品やアクセサリー用品を扱ったお店がたくさんある通りです。

OASISのセカンドアルバム(What’s the Story)Morning Glory?のジャケット写真は, この通りとNoel Streetという通りの交わるあたりで撮影されています。

真似して写真撮ってる方を 何回か見ました(わたしも… 笑)

Cass Art からもっとピカデリー寄りには, 平日毎日やっているマーケットも。

また, 日系の食品店やレストランの多いエリアでもあります。

 

右のビニールバッグがスタンダード。

左は30ポンド以上買うともらえるショルダーバッグ。

毎年いろいろなカラーバリエーションがでます。

今日見かけた方は灰色だった。

 

他に大きな画材屋では,London Graphic Centre,  Cowling&Wilcox Ltd.,  Atlantisなどがあります。どのお店も学割があって,美大生は常にお世話になる場所です。

ただ 他の店に違わず閉店が早いので(5時半時〜6時くらい)放課後に死にもの狂いで駆け込む事も…苦笑

 

Graphic Centre の学割カード。ここは学生限定ゲリラセールもたまに。

 

もちろん小さい画材屋さんもあります。

British Museumの近くにある,L.Cornelissen&Sonは, ギシギシなりそうな板張りの床の,古いお店。

ちょっと暗めの店内に 所狭しと並べられた絵筆や絵具…

歴史ある店内にいるだけで 幸せな気分になります。

 

わたしの通っていたCSMの近く,Southampton Row にあるShepherds Book Binders Ltd. は紙と製本用品の専門店。

ポートフォリオ用のボックス作りのため,また卒論の製本のためなど,お世話になりました。

のり付けのためのブラシや, ヘラ, 色とりどりの布など

専門用具って 見ているだけでわくわくします。

 

ロンドンは, 世界堂や東急ハンズのような大きなお店は少ないけれど

専門分野に強いお店が多いです。

ローカルな感じが漂って 非常にすてきな事。

ただしその一方で, 不慣れな新しい街で特殊な用具を買うのは一苦労。

 

留学して, まず困った事の一つのが 画材/材料店を探す事でした。

美術を志す者なら, 基本中の基本のはずなのですが

これが 新しい街となるとなかなか難しい。

なにしろ 観光用の地図にはまず載っていない。

店の名前が分かれば ネットで検索もできるけれど

もちろんどんなお店があるのかすら 始めは分からないもの…。

わたしは幸運な事に 日本人の先輩からセンター(ロンドン中心部の事)にある画材屋さんをまとめて教えて頂ける機会があって助かったのですが

一方で 1年以上ロンドンにいても知らないままの方も…。

専門用具の店は特に 常に情報交換が欠かせません。

 

ここに載せたお店はリンクを張っています。

少しでもお役に立ちますように…

 

ただ, 美大の中にあるアートショップも(校舎によりますが)品揃えは悪くないです。

 

余談…ですが

これからロンドンに留学する方がいたら,基本的な文房具 特にシャーペンや鉛筆などの必需品は

日本で購入していく事をお勧めします。

なぜなら ロンドンの画材屋でも ぺんてるやパイロットの物を買う事になるから。

値段が倍くらいして, 悔しい思いをします。(しました)

鉛筆はステッドラーやファーバーカステルが主流なので, ユニ派の方は買っていってください…。

紙類は品揃えも豊富で便利です。

日本ではとっても高いThe Langtonの水彩紙も, ご当地なので半額くらいです。

コピックも売っていますよ〜!

 

2011/09/24

こんにちは!

秋分の日を過ぎて,ようやく季節が変わってきた感じがしますね。

やはり気候の変化があってこそ,1年にメリハリがつくというもの。

 

メリハリと言えば

わたしの周りでも区切りになる出来事がありました。

帰国前に送ったロンドンからの引っ越し荷物

大きな段ボール箱にして3箱が 約2ヶ月の船旅を経て無事届きました。

あの暑い中 どこの炎天下の下を船で通って来たのかと思うと

ちょっと中を開けてみるのが怖かったけど

幸い 特に変化はなさそうでした。

ただ一つ焦ったのは

画材の中で唯一 船便で送ったコピックマーカーのセットが

収納ケースの蓋が開いてしまって バラバラ散乱していたこと。

その中のいくつかはキャップも開いてしまっていて 完全に乾燥。

やむなく廃棄。。

数本ですんだけど ちょっと…けっこう…悲しかった。

 

とにかく こうして引っ越し荷物が届いた事で

帰国自体もようやく完成した感じがします。

 

 

一つの大きな区切り,です。

 

 

ところで,今回の引っ越し作業の中で 特に頭を悩まされたものがあります。

それは大量のスケッチブック。

 

 

 

ファウンデーション(学部予備課程)時代とBA(学部)時代、

プロジェクトごとに一冊埋めなければならなかったこと

さらに リフレクティブダイアリーというビジュアルノートを

何か見たりきいたり調べたりしたときに 必ず記録しなければならない

という なかなかハードな決まりがあったので

(試験のときには,最終作品とともにこのスケッチブックとダイヤリーも提出する。)

5年間でとんでもない量になってしまいました。

ここに映っている分は 小さいサイズのもので

この倍以上のサイズのものが あと20冊くらいあります。

しかも一冊が分厚い。(資料を張ったりする, コラージュもする。。。)

 

紙なので重い上に ロンドンで定番のスケッチブックは みんなハードカバー。

とんでもなくかさ張って 普通の引っ越しの時でさえ悩みの種。

まして 帰国するとなると…

 

でも結局 服も何もかもかなり捨てた今回の移動の中

スケッチブックだけは ほとんど捨てませんでした

(一冊だけ どうしても嫌いなプロジェクトを捨てた。)

 

このずっしりした 乱雑な まとまりの無い記録の中に

じぶんが 5年間で感じたこと 悩んだ事

調べたもの 見たものきいたもの

使わなかったアイデア 恥ずかしい詩

 

頭の中の 思考の軌跡が, ぎっしり詰まっているから。

 

作品を作っていて 行き詰まったとき,スランプの時

いつもこの 昔のスケッチブックたちを開きます。

自分が気になったものばかりが 書きとめ描きとめられた本だから

悩んで絡まった頭の中にも すっと入ってきやすいというか

アイデアにつながりやすい。

 

困ったときに助けられるのは やっぱり過去にやってきた事…

 

過去の自分に助けられるたび, 日々の積み重ねを大事にしなければと

現在の自分も 気が引き締まります。

今日の1ページの記録が スケッチが

何年後かに 何かに つながっていくかもしれない。

 

今日も,スケッチブックを片手にあるこう。

 

重ねたページの分だけ,きっと良いものが作れると信じて。

 

*****

今週から,コラムタイトルが変わりました!

内容的には あまり変わらないとは思うのですが

『スケッチブックを片手に』も どうぞよろしくお願いいたします!

 

2011/09/13

こんにちは!

昨日 9月11日,Junk stage第三回公演に行って参りました!

ジャンクステージに参加し始めた時はロンドンにいたので,

メンバーのお二人以外

どなたにもお会いしたことが無かったのですが(汗)

今回いろいろな方に 生でお会いすることができて

とっても嬉しかったです…

 

ご来場いただいた方にお配りしていた、うちわ/プログラム。

描かせて頂いたジャン子が!!!

これを皆さんが持っていらっしゃるのを見て

何だか嬉しくなってしまいました 笑

 

公演 とても楽しかったです…

歌あり踊りありジャグリングありジャズ演奏あり

こんなたくさんのパフォーマンスが一度に見れてしまう場なんて

ほんとうに なかなか無いだろうなあと思いました。

皆さんの『これが好き!』が集まった場でした。

 

うちわのジャン子と,小道具の絵…

参加させて頂くことができて 嬉しかったです!!

 

*********

 

さて,今回のコラムは ロンドンと東京の街の色くらべ第二回。

第1回目では,タクシーやバス,ゴミ箱など

公共の物体で色比べをしました。

第二回目は,その公共物がどんな風に

「街の色彩」 という全体に働いているのかを

建物の色などにも注目しながら見てみようと思います。

 

「街の色彩」という全体

と言っても わかりにくいですね…

まず イメージで見比べてみましょう。

壁の色,建物の高さ,看板の色,看板の位置などに注目してみてください。

写真①

上がロンドン キルバーンの住宅エリア、下が東京 御徒町の住宅エリア

 

写真②

上がロンドン キルバーンのハイストリート(ショッピングエリア)、下が東京 上野の町中

建物の構造,高さ,看板の付き方など

色合いだけの違い以上の もっと根本的な,街の構造の違いがあることに気づきます。

 

ロンドンは建物,また看板の設置の高さや,外壁の色が濃い色でそろっていて

全体的に 濃く強い色の横ストライプのような色の配置になっています。

 

反対に東京の町並みでは,建物の高さがそれぞれ、おだやかなトーンですが外壁の色もバラバラです。

また,建物の構造上 立て看板がたくさんあり,派手な色が街並の上の方にも見られます。

いわば 下部から最上部まで色の飛び散った,淡く明るい色のモザイクのような色の配置です。

 

この場では 長くなってしまうのであまり触れませんが,

ロンドンでは行政区ごとに

建物の高さ,外装のリフォーム可能範囲,商店の看板の大きさ,設置場所などが

こと細かく規制されていて,

街並みを統一,保存する意識がとても強いのです。

 

色に注目して街を見よう,という試み。

でも実際には, 配色だけが全てではありません。

どんな色が,どういった配置で使われているのか

それは建物の高さ形や,看板の色 その大きさと配置など

全体の構図を大きく捉えて 考える必要もあるようです。

 

最後におまけで,東京都ロンドンの地下鉄の色比べをしてみましょう!

 

①ロンドンの地下鉄 全9線のインテリアの配色

※データは2009年のもの,調査にはパントンカラーチャートを使用

②東京の地下鉄 12路線分のインテリアの配色

③ 左/ロンドン 右/東京

地下鉄インテリアの配色をまとめ,モザイク上に配置したもの

 

大分 雰囲気の違う色を使っていることがわかります。

ここでも,暗い,深い色合いのロンドンと,

明るい 軽い色合いの東京 という特徴が見えてきます。

 

ロンドンの地下鉄は,ポールの色など,日本ではステンレスの銀色のところに

黄色や赤の原色が塗ってあったりするので それだけで大分印象が違います。

床も 黒に近い濃い色が多いです。

 

こういった,公共の場で使われる色彩の違い。

これは,そこに住む人々の「色彩嗜好」つまり 色の好みが

地理,文化,などの諸条件によって変わるのだということを示唆しています。

それに街の構造の違いが合わさって,

「街の色風景」が変わってくるんですね。

 

「色彩嗜好」、色の好みの違いに関しては いろいろな論文や研究がでていますので

それらを読んでみるとおもしろいと思います。

個人的には 佐藤邦夫さんの’風土色と嗜好色―色彩計画の条件と方法’(1986)で論じられている

’色のバイアス’についての考え方が 一番納得がいき,

自分の論文でもそれをベースに考察をしました。

 

それから 街の色彩については,ジャン−フィリップ ランクロというフランスのカラリストの方の本が

どれも写真付きでとても詳しく考察されています。

彼はご夫人といろいろな国,地域の色彩を比較していて,とてもおもしろい研究をしています。

 

他にもアジア内での色彩嗜好の違いの研究など,興味深いものがたくさんありましたが

また 次の機会にいろいろ書いていきたいと思います。

 

また長くなってしまいました ごめんなさい!

それでは,また来週。

(今回の街の色彩についてのコラムは,わたしの卒業論文からの抜粋です。

かなり無理をして二回にした関係で 大分説明の足りないところがあり,恐縮です…

ご意見 ご質問などありましたら ご連絡ください!

chihiro.s@hb.tp1.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2011/09/05

みなさん、こんにちは!

しばらく休載させて頂いていましたが、

戻ってくることができました ジャンクステージ!

 

先月、5年間過ごしたロンドンにお別れをして、日本に帰国しました。

(ちょっとケチをして船便で送った荷物はまだ届きません…

いまごろインド洋クルーズかしら)

 

スケジュール的にも急だったせいか

しばらくは一時帰国で帰って来ているような感覚が残っていたのですが

一ヶ月ほど経ってようやく、ああ帰って来たなあと

落ち着いてきました。

 

移動に際し

生活については そう問題も無いのですが

お仕事関係では大混乱が!

継続のはずだったロンドンの雑誌社と 2週間以上連絡がとれず

 

メールに返信来ない!次号分もウェブにアップされてる!

これはサイレント解雇なの?!(何だろうそれ)

 

と しばらく悶々としていたのですが

その後、サーバーの問題で わたしからのメールが届かなかったことがわかり

無事 同社での挿絵のお仕事も再開できました。

よかった。。

 

ちらほら 日本でのお仕事も始めさせて頂いて

まず イラストレーターの肩書き全廃のピンチだけは逃れたところです(苦笑)

 

まだまだ手探りですが

前向きに 難しい事態にも落込みすぎないで

描いて作って 人と社会と繋がれるよう

頑張っていきたいと思います。

 

さてこちらのコラム、

「ロンドン便り」というタイトルで書いていましたが

帰って来てしまったので(笑)

スタッフの方と相談して、変更になると思います。

 

でも 内容はあまり変わらずです。

絵をかく日々について 思う事について。

遠距離ですがお仕事続けさせて頂いているので、

ロンドンのことも書いていきたいと思っています。

 

一番の変化にしたいことは 更新回数の向上!

ジャン子ちゃんを見習って!!!

 

どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

 

*今回はご挨拶にさせて頂きました。

次回は途中になっている街の色彩の二回目から、書いていきます。

 

 

 

 

 

 

2011/09/05 12:05 | 未分類 | No Comments
2011/08/01

JunkStageをご覧の皆様、こんにちは。
いつもJunkStageをご訪問いただき、ありがとうございます。

「イラストレーターのロンドン便り」のライター、イラストレーターの佐々木千尋さんですが、現在活動拠点を日本に移す準備のため、9月初旬までこちらの連載を休載とさせて頂きます。

ご愛読頂いております皆様には大変申し訳ございませんが、新たにリニューアルしてお届けする次回更新の際をお楽しみにお待ちくださいますよう、お願い申しあげます。

(JunkStage編集部)

2011/08/01 12:00 | 未分類 | No Comments
2011/07/05




(ゴミ箱…左上/ロンドン 右下/東京)

見慣れた物も 色彩も

比べてみると おもしろい。



みなさんこんにちは!

しばらくぶりの更新になってしまいました..お変わりありませんか?

 

突然ですが ひとつおしらせがあります。

じつはこの夏 日本に帰国する事になりました。

(ロンドンだよりという名前も あとすこし!

でも現地のお仕事は続けられそうなので

ロンドン情報は引き続き発信したいと思っています。)

 

それに伴い仕事のことや家のことなど 整える事が重なり…悩ましいです

詰めて送るだけなのですが どうも不得意なわたし。

思い出の品を捨てられない質で

全部もって帰れるはずが無いのに

なかなか 物が減りません。

今まで描きためたスケッチや

集めたチラシやらスクラップやら

こうした記録や素材は もちろん手放せません。

紙類 かさ張るし重いのです。

仕事柄 ついて回る悩みです。

 

ちなみに ロンドンからの帰国の際は

ほとんどの方がクロネコヤマトを使って発送するようです。

そう ロンドンにはクロネコのオフィスがあります。

ピカデリーサーカスの三越デパートの一階、レジの左奥。

航空便と 船便のオプションが選べますが

航空便は一週間くらいで届くのに対し 船便は約3ヶ月。

どこでそんなにかかるのかしらと ちょっと不思議になる数字ですね…

数十ポンドの違いなので よほど箱数が多くならない限りは

航空便を選ぶ方が多いようですが

どうなることか まだ未知です。

 

***********

 

さて 私事の話題から始まってしまいましたが

今日は ロンドンと東京の‘色彩風景’についてお話ししたいと思います。

 

じつはイラストレーターといいながら色彩学が大好きで

個人的にまとめた資料がありまして…

これも「視覚伝達としてのイラストレーション」の一部という事で

ジャンクに載せる事にしました。

発想の転換に…楽しんでいただければ幸いです。

 

英語で 町並みのことは‘Cityscape’。

これをもじって 町並みの色彩風景を ’Colourscape’ といいます。

 

街の色彩 というと 皆さん何を思い浮かべますか。

 

たとえば海外旅行に行って,

「あれ、何だか街が明るい!」

「何だか雰囲気が違う!」

「なぜだかは わからないけれど」

そんな風に思った経験はありませんか。

 

もちろんいろいろな理由が考えられますが

街の中で使われている色や 配色の種類が

その場所の印象を左右している ということが

かなりあるのです。

 

 

毎日生活している場所で,毎日目にする物だから

普段 あまり気づく事の無い その街独特の配色。

そして その配色が好まれる

文化的,地理的背景とは…?

色彩。

気をつけて見始めると

なかなかおもしろい発見があります。

 

ロンドンに5年住む中 発見したこの街の色

今回は東京の色彩と比較して

2回に分けて すこしご紹介します。

 

1回目の今日は,

町の公共物に注目してみたいと思います。

 

 

街の色を考えるにあたって

色比べをする対象を決定する必要があります。

(なにしろ 街は物で溢れています!)

二つの都市に共通して存在するもの ということで

いくつか選んでいきましょう。

(今回は,建造物以外の物体についてみていくことにします。)

まずは個別の色を比較して

全体像を眺めてみる事にします。

※比べた地域は,東京台東区とロンドン北部キルバーン。

データは2009年のもの,色の調査にはPantonカラーチャートを使っています。

 

比べたもの…

 

バス

タクシー

公共電話

看板

郵便ポスト

道路フェンス

信号機

工事現場(ポール、看板、囲い板など)

ゴミ箱

 

さあ 東京にお住まいの皆さんは

それぞれの物の色,思い出せますか?

なかなか 難しいのでは…ないでしょうか。

順番に見比べてみましょう。

 

(左/ロンドン 右/東京)

おなじみの色ですが 改めて見るとこんなに違う。

 

(上/ロンドン 下/東京)

タクシーはどこも鮮やかですね。

東京の方がポップな感じがします。

左上/ロンドン 右下/東京)

緑の電話はかなり独特です。

ロンドンは赤と青が多い。

(左/ロンドン 右/東京)

通りの看板や住所表示。

東京は区によってプレートの色が違います。

ロンドンはとにかく 白黒+赤が多い。


(左/ロンドン 右/東京)

ポストの色は共通。

日本の物は 心なしか黄色っぽい赤。

(左/ロンドン 右/東京)
信号機もフェンスも真っ黒なロンドン。
町中にいくつあるかを考えると 街の印象の違いが見えてきます。
(左/ロンドン 右/東京)
都会はいつも工事中。
目立たせたいロンドンと おとなしい東京…

みなさん どんな印象を持ちましたか?

全体として

 

ステンレス/白+やわらかい色彩(黄緑,水色,オレンジなど)の多い東京

という印象があります。

こんな感じになります。

 

ロンドン=高彩度,低明度,コントラストが強い配色(ex.黒/赤)

東京=中—低彩度,高明度,なじみの配色(ex. 灰色/水色)

ざっくりまとめてみると このように見られるのではないでしょうか。

 

普段見慣れている物も,他の文化圏と比べてみれば地域性が見えてきます。

次回は 建造物の色彩も見ながら

街全体の色合いと,その違いの背景についても

少し考えてみようと思います。

 

長くなってしまいました!

最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは,また来週。

 

2011/06/11

こんにちは!

日本は本格的な夏を迎えている頃でしょうか。

 

ロンドンは ここ数日,肌寒い日が続いています。

今日はヒーターもはいっています。

コートもウールも出しっぱなしで,

季節感が全く無いクローゼットに 溜め息。

衣替え,という観念を この国の方々に説明するのは…

ちょっと大変かも。

イギリスと日本では 時間の流れが違うなと思う事があるのですが

季節の変化の違いも 関係しての事なのかしら。

 

 

さて 今日は,久しぶりの画材のお話を。

前回のカラーインクに続いて,

今回は アクリル絵具について お話ししたいと思います。

 

耐水性で重ねぬリができるので,いろいろな画材と併用もしやすい。

地に布をはったり 色鉛筆やクレヨンを上から重ねたり…

 

アクリル絵具は,カラーインクに比べて馴染みのある画材ですね。

チューブのものがほとんどですが,

内容量の大きなものはプラスチックのボトルに入っています。

英語だとAcrylic paint とつづります。

アクリリック というように発音するのですが,

これがなかなかうまく言えずに 渡英当初 だいぶん苦労しました…。

 

水性アクリル絵具は水で溶いて使い,乾くと耐水性になるので重ね塗りができます。

水の量や重ねかたによって,水彩画のようなタッチから油絵的な表現まで

幅広く使える画材です。

吸着力が強く,厚手の紙,カンバス,木,布など,

いろいろな表面に着色できるのも魅力です。

 

イギリスでメジャーなブランドは

Winsor & Newton,Liquitex,Daler – Rowneyあたりでしょうか。

日本のものでは ターナーアクリルガッシュをよく使います。

(ガッシュは水性アクリル絵具の一種で,マットな感じに仕上がります)

 

重ね塗りによっていろいろな表現ができるので,

完成度の高い作品が作れるアクリル絵具。

ただ スピードが重要な雑誌の挿絵となると,ちょっと不便なところがあります。

水彩やカラーインクに比べて乾くのに時間がかかり,

本格的に重ね塗りをすると,二倍くらい時間がかかります。

(わたしだけかもしれませんが…)

かといって 一度塗りしただけだと安っぽい印象になりがち。

あえてアクリル絵具を使うからには,しっかり描き込まなければなりません。

そのため,雑誌向けのイラストレーションでアクリルを使うものは比較的少なめです。

仕事を始めたばかりの頃は,よく使っていましたが…。

 

思い出深い一冊目のカバー。

A3くらいのカンバスにアクリルで描きました。

 

初期の挿絵。

アクリルで描いた風景に,フォトショップで窓の画像を合成しています。

地に使っているざらざらしたテクスチャは 実は塩です。

 

最近はあまり使っていない方法ですが,

厚手の紙に,下地として塩とジェッソ(下地材),白いアクリルを混ぜたものを塗ってから描くと なかなかおもしろい効果が出ます。

まるで砂のような雰囲気。

光の当て方で表情が変わります。

 

アクリル絵具用の下地材はいろいろなものが市販されていて,

砂目や岩肌,さらにプラスチックのようなテクスチャをつくるもの,

乾燥を遅らせる薬,などなど さまざま。

画材屋さんの中でも,こういったアクリル画用のメディウムは

見るのが特に楽しい棚です。

いろいろな表現を混ぜて

コラージュのように描いてみたもの。

 

ただ この手法で描いた作品は,挿絵にはあまり向かないようです。

というのは スキャンするとなかなかいい結果が出ない…

(ざらざらしているので,ピントが合いにくく 一部がぼける)

さらに 下地が乾くまでに時間がかかりすぎるのも問題。

仕事として描く場合,いつも時間の制限があるので

水彩やカラーインク,コンピュータでの着色が多くなってしまうのが現実です。

 

それでも,重ね塗りや混色によって 思った通りの色が出しやすく

実験的なイメージづくりもしやすいので

離れられない画材なのです。

また時間をみて 大きな絵が描きたいです。

 

 


 

 

 

 

 

2011/06/11 09:52 | 画材のこと | No Comments
2011/05/23


5月も半ばを過ぎ,ロンドンはすっかり初夏。

この時期には「霧のロンドン」でも晴れの日が多くなります。

ちょっと ぶらぶら散歩でも そんな気分になる土曜日。

渡英以来5年間お世話になっている 友人/戦友と

お気に入りの散歩ルートをぶらぶらしてきました。

先週,二号分の表紙があったので ちょっと一息つくためにも…

 

どこも人混みを離れたおすすめの場所なので,

ロンドンにお越しの際はぜひ足を運んでみてください。

 

まずはロンドンの中心 ピカデリーサーカスの近くにある,

Nordic Bakery(ノルディックベーカリー)からスタート。

北欧の家具&食器で統一された店内で,シナモンロールやライブレッドのサンドイッチ,各種ケーキ,おいしいコーヒーなどが味わえます。

 

スケッチブックに 気ままな散歩の記録

こんな雑多なメモと落書きが あとで作品につながっていきます。


いろいろな言語が飛び交うロンドンのカフェ。

その雑音をBGMに

お気に入りの本を広げて ゆったり午後を過ごしたり

勉強をしたり

スケッチブックに落書きしたり

とてもリラックスできる空間で お気に入りです。

 

ここから,北西に移動。

ピカデリーからリージェントストリートを上って,

オックスフォードサーカスを過ぎて

Maryleborn(メリルボーン)というエリアへ。

この辺りはちょっと高級なエリアで 落ち着いたたたずまい。

オープンエアのカフェや かわいい雑貨屋さんなどがたくさんあります。

 

Meryleborn High Street (ハイストリート:メインストリート)にお店が集中しているのですが

この日は一本はずれた裏道を散策。

Maryleborn High Street (メリルボーンハイストリート)の脇道。

水色のウォルクスワーゲンがかわいい。

ロンドンの,この辺りの建物の煉瓦は 赤い

 

初めての道を通ると,いつもおもしろい発見があります。

 

ある靴屋さん。

店内のディスプレイが独特。

天井から 靴がいくつも釣ってあって

その下には 食器やナプキンのセットされた

アンティークのダイニングテーブル。

白いお皿の上には いろいろな靴がペアでおかれています。

窓際には ふしぎな ちいさい ぶたの置物。

(一番上のスケッチブック画像の 右側に描いてある絵です)

 

残念ながらこの日は閉店していましたが

つい入ってみたくなる 不思議な雰囲気。

こんなコンセプチュアルな 小さなお店がたくさんある

ロンドンの裏通り。

ハイストリートブランドで溢れたメインストリートよりも

刺激的でたのしい。

とにかく シュールな

ぶたの置物。

メリルボーンからさらに北へ行くと,

シャーロックホームズのお話で有名なBaker Street(ベイカーストリート)に出ます。

ロンドナーにすらあまり知られていませんが 駅前にはホームズの銅像もあります。

この駅からすぐ近くのところに,Regent’s Park(リージェンツパーク)という大きな公園があって

この中のバラ園が とにかくこの時期美しい。

ロンドンにいる5年間 欠かさずに訪れています。

この街の 一年の癒し。

今年も香り豊かに咲いていました。

今年の写真ではないのですが…(撮り忘れました)

Regent’s Park(リーゲンツパーク)内のローズガーデン。

この時期 満開。

いろいろな種類のバラ。

わたしはこの色が一番好きです。

もう一つ

この公園のよいところは,たくさんの野生動物がいること。

カモやペリカン ロビン(お腹の赤い スズメのような鳥)

マグパイ(黒い体に黄色いくちばしの 小さい鳥)

リス  などなど

それぞれ気ままに うろうろ うろうろ。

 

特にリスはとても人になれていて,足下までやってきます。


カモのオヤコ。

大きな声で があがあがあと号令をかけて

ひなの行列を引き連れ 去っていきました。

人懐っこいリス。

なんて顔をしているの。

 

大学に行っている頃,この公園の近くに住んでいた時期があり

当時はよく動物のスケッチをしに来ていました。

生き物や自然は常に変化して いつも新しいインスピレーションを与えてくれます。

公園に来る度

迷ったりしたときこそ 部屋に閉じこもっていてはいけないな,と

思わされます。

 

週末に小旅行にいけるほどの余裕は

金銭的にも時間的にもないけれど

お気に入りの散歩道を 親しい友人とあれこれ話しながら歩く週末は

また次の週も頑張る気にさせてくれる

すてきな過ごし方だと思います。

 

さあ 来週も張り切って描きましょう。


2011/05/08

 

英国王室のロイヤルウェディング。

中継を見た方も多いのでは?

わたしは 不覚にも…

 

日本では ゴールデンウィークの終盤を迎えている頃でしょうか。

皆さん,いかがお過ごしになられましたか?

遠くに 見たことのないものを探しにいくのもよいし

身近なもの,場所に 目を向けなおすのも良いですね。

 

4月の後半から5月の頭にかけては イギリスでもホリデーシーズン。

銀行などがお休みになる祝日のことを,イギリスでは‘バンク(Bank) ホリデー’

と呼びますが,このような祝日がこの時期にまとまってあるのです。

 

4月第4金曜日のグッドフライデーから始まり,日曜日のイースターサンデー,月曜日のイースターマンデーまでは,4日間の‘イースターホリデー’です。

夏の休暇ほど長くありませんが,この長い週末を中心に学校もお休みになります。春休み,と言うところでしょうか。

ところが今年に限っては,皆さんもご存知の通り29日金曜にウィリアム王子とキャサリン姫のロイヤルウェディングがあり,この日もバンクホリデーになりました。

これと5月2日月曜のメイデー(バンクホリデー)がつながって,

結果4連休が2回続くという ゴールデンウィーク並みのホリデーだったのです。

もちろん皆喜んで,旅行に行ったりバーベキューをしたりするわけなのですが

 

わたしはこの2週間弱 いわゆる‘スランプ’状態に陥っていて,全く思うように線が描けず 悶々と机の前にすわってほとんどの時間を過ごしてしまいました…。

 

連休と言っても わたしの職業柄,動かぬ‘締め切り’があるので,あまり恩恵にあずかることはありません。

期日までにノルマを描ききることが大前提ですので,

2週間描けない

というのは大問題です。

雑誌のお仕事を初めて以来の不調期。

今はなんとか復活しましたが 非常に不安でした。

 

スランプ。

どんな職業の方にも それぞれの周期で 不調がやってくるものと思います。

わたしの場合 1−2年に一度くらい回ってきます。

 

アイデアが出ない,

好きな線が描けない,

いい色が出ない など

とにかく ‘描けない,描くのがつらい’状態になってしまいます。

 

理由は精神的なものだったり 体調だったり はっきりしなかったり

期間も 長くて一ヶ月,短くて数日 など いろいろです。

もちろん「描けないから 描かない」 などとは言っていられないので

とりあえず 絞り出すように作品をつくりはするのですが,

いつもの倍の時間がかかり,気持がどんどん沈んでしまいます。

本当に,乾いたレモンを搾るような感覚。

 

皆さんはどんな方法で対応しているのかしら。

 

学生の時や 定期的な雑誌のお仕事を始める前には,

沈むところまで落込んで,ある日ひらめくのをおとなしく待つ

でもよかったのですが

もはやそれでは許されない状況。

なんとか早く いつものコンディションに戻さなくては 生活に関わる…

一方で こう焦ると逆に緊張してよくないようです。

 

ただ 定期的に起こることではあるので,自分なりの対処法もいくつか。

カメラを持って,好きなエリアにぶらぶら散歩に行き

おもしろいものを見つけたら写真に撮って

催し物の確認をせずに ふらふら美術館に足を運び

公園のベンチにすわって アイデアブックに思ったことを書いてみたり

 

とりあえず かたくなった頭をほぐす作業をします。

スランプのとき あまり絵は描きません。

写真か,文章で記録。

 

日本語の本を読んだり,日本語の歌を聴いたりするのもよいようです。

普段 英語の文章に挿絵を付けているので,言語を替えると脳の他の部分を使えるよう。

 

どれも特効薬ではないので,すぐに結果が出るわけではないのですが

何か試している,取り組んでいるという事実が安心感を与えて

描けないプレッシャーや緊張を取り除く 助けになる気がします。

 

お仕事として 毎日 毎時間 絵を描いている。

普段なら,好きなことをしている幸せな時間としての描く作業のはずが

一転して苦痛になってしまう,スランプ期。

恐ろしいものです。

他にできることもあまりないのですから,非常に惨めな気持になります。

 

ただ,こういった時期があろうと 結局 描くことに戻ってくるので

やっぱり好きなんですね。

 

不調とうまくつきあうこと,大事な能力。

まだまだ,たりない。もっと磨かねばなりません!

 

 

2011/04/16

ロンドンにも夏が来た。

テムズ川のほとりの広場 ピクニック日和。

皆さんこんにちは。

長い冬が終わり,ようやく初夏を迎えたロンドン。

日中は17−20度くらいあって,日が出ているときには汗ばむほどです。

でも朝晩の最低気温は7度くらいまで下がるので,油断をして外出すると凍えます。にわか雨(シャワーと呼ぶ)も頻繁。

半袖を着て厚手のジャケットをカバンに入れ,ショールを巻いて,折り畳み傘も忘れずに,というのがこの時期のロンドン散歩の必勝法でしょうか。

荷物が増えてかなり悩ましいですね!

 

そんな気まぐれな天気の中,太陽大好きなロンドナーたちは

広場という広場で日光浴をしています。

週末ともなれば,青空の下 ワインや食べ物やギターなんかも持ち出して

貴重な夏の一日を満喫。水着の人もいます。

なにせ 二週間くらいしか‘夏らしい夏’がないのです…もはや 必死。

 

この時期になると,屋外の音楽イベントやパフォーマンス,

“チョコレートフェスティバル”“コーヒーフェスティバル”などの物産展みたいなものも増えます。

活動的なハウスメイトたちは毎週いろいろお出かけしていて うらやましい限りなのですが,

わたしは今月急な仕事が多くて自宅兼仕事場にこもりっきり。

今週でようやく今月号分のイラストが全部終わり,この週末はようやく一息…です。

 

外はいい天気。

いつも修羅場の編集室。

(セールスさんの外見は変えてあります)

 

わたしの働いている編集社の雑誌は,

編集スペースの論文(教授などに依頼して書いてもらう)の他に

売り物スペースの論文(企業の宣伝論文など)で構成されています。

売り物スペースの企業論文は短くて,見開き一ページくらい。

このタイプのものは,締め切りぎりぎりにセールスさんが契約を取ってきてくれる事があり,

その場合 編集チームは嬉しいのと悲しいので非常に複雑な心境におちいります。

今月は この手の急な契約がたくさんあり…

いずれもイラストレーションが必要で,即日から翌日締め切り。

 

セールスさんが電話で

「明日までに挿絵いりで編集したものを確認用にメールします!」と

クライアントさんと話しているのが聞こえ,

血の気が引いていくのを感じ,

電話をおく音,椅子の回る音,

「チー,(チヒロは言いにくいので,皆こう呼ぶ)そんなわけだから…もちろんできるよね」

 

イエス以外に答えはありえないのですから,

正念場と言いましょうか。根性の見せ所です。

 

でも社員一同力を合わせて,契約成立から24時間以内で確認ファイルを完成させ,

送信完了したときには 何とも言えぬ達成感があります。

そしてクライアントさんからの”FANTASTIC(とてもいいです!)”のお返事が来ると,皆でバンザイ。

激動,修羅場の出版業ですが,

なかなか スリリングで癖になってしまう職場です。

 

そして手元には 来月号用の18ページの論文。

だ,誰か代わりに読んでくれないかしら…

 


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