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2011/03/22

鳥を抱く少女

大切なもの。全て抱いていたいけれど。

 

忙しいというか慌ただしいというか

ここ最近 身の回りで起こる出来事は,計画倒れか 計画にない突然の事件かの二つに一つであるような気がします。

よくも悪くも極端で,刺激的でもあり疲れもし…

安定した 落ち着いた 平和な生活をしたいなどと思いつつ,

そんな当たり前の望みが,どんなに得難いものなのか 尊いものなのかを

想い知らされるような事ばかりが 続いていく。

 

生き物も何もかも,動きだす 春。

冬の静寂から抜け出して動へと転ずるのは 喜ばしい事のように思われるけれど,そのなかで望まない変化が 同時に起こる。

変わらないものはないのだと 想い知らされるよう。

大切なものを全部 強く抱きしめて 離さぬようにしたい

それをするには あまりにたくさんのものが 大切すぎる。

 

 

 

この3週間ほどの間 ずいぶんいろいろなことが起こりました。

まず先月末に 突然引っ越し。

勤めている出版社の事務所が移動することになり,同じ建物の3階に越すことになったのです。

物件が見つかってから実際に移動するまで 僅か2週間。

以前住んでいた所が職場から遠かったこともあり 近場に越すことを考えてはいたのですが,まさか同じ物件の上階に住むことになるとは思ってもみませんでした。そもそも 生活全体が2週間でガラリと変わる事になるなんて,想像しがたい…。

 

毎日3時間以上を交通に費やしていたので,それがゼロになるというのは非常にありがたい事。

加えて,大量の画材を毎日持ち運ばなくてもよくなるのも歓迎すべき変化。

でも一方で 今まででさえ曖昧だった仕事と私生活の境が さらに曖昧になるのではないかという 大きな気がかりもありました。

(結局いつも何か描いているのですが,雑誌の仕事以外の個人的なものを描く時間を取らなくてはいけない)

実際動いてみれば,まさにすべてが大当たり。

浮いた三時間より長い時間を 一階のオフィスで過ごして

寝る為に部屋に戻ってくるような生活…休日も結局仕事…をしばらく続け,

仕事は好きだしはかどるが,これは流石にまずいぞと 時間管理についてまじめに考えはじめました。

うまく配分さえすれば,有意義に時間を使えるはずの環境なのです。

なんとかしなくては。

 

実はロンドンに来てからの約5年間で,これが7件目の引っ越し。

ロンドンの住宅はとても高くて,学生から社会人まで‘フラットシェア’という間借り形式が一般的になっています。

一つの物件,または大きなマンションの1部屋を個室ごとに貸し出して,キッチンやトイレはシェア,というやり方です。

いろいろな国の人が一つ屋根の下に住む事が多いので,よくも悪くも刺激的。

それでも一部屋 月8〜10万円ほどなので どれだけ住居費が高いことか。

こういった事情もあり,契約は半年からできる事が多いので,ロンドンに来て数年は半年ごと引っ越しをしていたのです。

ただ,今回越す前に住んでいた所は非常に環境が良くて,二年近く住んでいました。本当はもう 本帰国まで引っ越さない予定だったのですが…予想しない事は起こるものです。

実際 大学を卒業してからの生活は,予期せぬ事の連続で,何か大きな流れに飲まれているような感覚さえあります。

今は 身を任せてみるしかないかと思いはじめています。

突然始まった新しい生活。

もうすでにいろいろな問題も浮上していますが,それ以上の喜びもあるのが救いです。なんとかうまくやっていけるとよいのですが。

 

 

こちらで引っ越しの騒ぎが起こっているさなかに,母国で起きた大きな災害。

どんなに異国の生活が辛かろうと 不安定だろうと 寂しかろうと

自分の国と家族は いつもそこにあって,その事実が自分を支えてくれた事が幾度となくありました。

その安心が一挙に揺るいだ 今回のできごと。

近くにいない不安を こんなに大きく感じたのは 渡英してから初めての事でした。

インターネットでしか集まらない情報に歯がゆさを覚えながら

こちらに住んでいる日本人同士,募金活動の連絡をし合ったり,家族の安否を確かめ合ったり。

あまりにも痛ましい情報の数々に,無力感と不安ばかりが大きくなります。

ただ 時折日本やこちらのメディアで報道される,大災害での日本の人々の対応の冷静さ,前向きさに対する情報,賞賛は,遠くで応援する事しかできないわたしたちにとっての 救いになっています。

みんな 大変な思いをしながら頑張っている。心配ばかりしていられない。

日本の人たちが懸命に行動する姿を,こちらでもたくさんの人に伝えないと。

そんな思いで 自分の周りでの事ではありますが 対応や復旧の様子を細々と周囲に伝えています。

 

家族 国 自然

個人的生活の振幅に比べれば 安定しているように見えるこういった大きな観念も,変化がないわけではない。むしろ,変化が起こるときには それは個人的なものよりも もっともっと大きい。

 

変化は予期せず起こってしまう。

全てを抱きかかえて守るには わたしたちは小さすぎるから

代わり映えのない 当たり前の日常を愛して

手の届くものを守って 過していくしかないのかな。

イラストレーターとして わたしができる事,守れるもの,伝えられるものは何だろうと

考えている今日この頃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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