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2011/02/22

こんにちは!

前回から また少し日にちがあいてしまいました…

雑誌の新刊が出る前には不安定になりがちです。だめですね!

実は今月号のThe European Financial Reviewの表紙,非常に厄介だったのです。

いつもカバーは大変なのですが,いつもにも増して手間取りました。

普段 意外と筆の早い方で,大きな絵でも2−3日でできるのですが

今回は異例の 約二週間という長丁場。

気持的にも だいぶん参ってしまいました…。

仕事として絵を描くということ

好きを仕事にする その楽しさと苦しさのジレンマ…。

あたりまえで それでも避けられないもの。

そんなものを 改めて感じさせられた今回の作品制作でした。

完成版の表紙

そもそもの始まりは 今月号の特集が,非常に話題になっている経済学者の記事だったこと。

当然,カバー絵のテーマもその記事に合わせたものになります。

「資本主義の 語られざる事実」 という感じでしょうか

‘What they don’t tell you about Capitalism’ という原題の Ha-Joon Chang

のインタビュー記事です。

カバーのデザインも 編集の数人で決めることに。

わたしは出てきた意見からスケッチをおこし,それまた見せ,アイデアを練り直し…というプロセスを繰り返して とりあえずデザインが決まるまでに数日。

そんなわけで 今回の絵はわたしのデザインではなかったのですが,完成させる段階は イラストレーターの役目。

方々の意見をききながら,描き慣れないテーマに悪戦苦闘しつつ さらに数日かけて 締め切り前日にようやく絵が完成。

よくできたね と 喜んでいたのもつかの間, 帰宅後 夜の9時くらいに編集から電話があり,あの表紙は使わないことになった,と…

デザインが政治的すぎて,各国の読者の中には反感を持つ人もいるかも,という理由でした。

それならもっと前に…

わたしのデザインではないのに…

決まった通りに描いたのに…

でも それでも これはわたしの仕事。

いろいろな感情が渦巻きつつも とりえず締め切り当日中になんとかデザインを変えて完成させなければなりません。

あまりのプレッシャーに頭が真っ白になりながら ひたすら考え編集した結果,

なんとか皆のOKがでて 印刷にまわすことになりました。

「誰かの手になる」 ということ。

それが職業イラストレーターの 一つの現実かもしれません。

制作のプロセスで判断してもらえる学生時代とは違って 完成品が全て,ということもあります。

もちろん いつもこんな風に作品を作るわけではないし,自分のアイデアからデザインを起こすことがほとんどですが

お仕事として描く以上 自分だけの絵ではないという事実を,いつも心に留めておかなくてはならない。

作画という非常に個人的で 精神的な作業とは 相対するような現実ですが,

ここをやりくりするのが

「仕事」

なのかな,と思います。

なかなか。

論理的にはわかっていても 気持ちとしては難しいものです。

技術もさることながら 精神的にも 学ぶべきことは尽きない仕事の世界。

表紙が終わった次の瞬間から 次号の挿絵を始めていますが

一枚一枚から得られるものを大切に…と 描いている まいにちです。

2011/02/22 09:10 | イラストレーション/お仕事 | No Comments

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