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2012/04/18

おそらく皆さんが大好きだとおっしゃるオペラなんでしょうが、
私は大嫌いなんです。
これが大好きだとおっしゃる方々というのは、
それなりに相応の青春時代を過ごされた方じゃないでしょうか。
過ごしたかどうかはともかく、過ごしたと思ってはいらっしゃるでしょう。

皆さん、おはようございます。
私はこれまで、年上の人たちの中で育ってきました。
1階では繊維の卸問屋をやっており、
その上の階を住居にしていたため、
完全にボンボンとして育った人間です。
しかし、自宅ではもちろんのこと、
店に居たって社員たちは私より年上の大人。
そんな連中に命令したり、顎で使っていた子供時代です。
ですから今の50歳から60歳の人というのは、
私の5歳当時、21歳から31歳の若手の人たちだったわけで、
私にしてみたら顎で使っていた人たちと同年代、
えろう大人、という感覚は今でも持つことができません。

ただ、えろう大人ではなくとも、
自分と同じくらい、という感覚も持つことはできません。
そんな育ち方をしていましたから、
彼らの息子、娘世代にあたる同年代の人たちについて、
今は違いますが、中学、高校当時、
一緒にいることに違和感を抱いてしまう相手、という認識でした。

そして、私の世界は音楽と宗教の中にしかありませんでした。
学校の関係上、音楽大学を受けさせてはもらえず、
感覚を共有できない同世代の学友と過ごした4年の大学生活です。
おかげで一般公演へのデビューは最低でも2年は早まりましたが、
そこは明らかに自分よりも年上の人間ばかりの世界。
私が最年少でなくなるには、およそ7、8年の歳月が必要でした。

意識の中心は音楽にありましたから、
中学以降、同世代の女性と付き合ったこともなく、
付き合いたいと思ったこともありませんでした。
同世代の女性を、きちんと女性として意識したのは、
小学校以来、関西二期会の研究生に入ってからが初めて、というありさまです。
二期会では、「同じ世界の住人」が集まったわけですから。
多少なりとも青春らしき日々だったのは、二期会研究生時代です。

ただ、音大生時代の話を何人もの人から聞きましたが、
そこにはやはり、私が欲しかったけれども得られなかった生活が、
繰り広げられていたように感じられます。
仲間と共有する青春の熱い血潮・・・。
私の人生には、それがあった、という感覚がありません。

その感覚が最も顕著なオペラが、この「ラ・ボエーム」です。
ここにあるのはごく一般的な恋のスタイルです。
そこのところが、オペラ好きにはたまらない要素なんでしょうが、
私が見ると、それは妬ましさの方が先に立ちます。
今更手に入れることは出来ない、青春の一コマなのですから。
そんな妬ましいものでありながら、作品としては泣かせてくれます。
しかし、そんな妬ましいものに泣かされたくはない。
それは私にとって、屈辱的な敗北です。

先だってほわっとでこの作品が上演されました。
新人たちのリクルートの目的で観に行きましたが、
実は、ボエームをまとめて観るのはこれが初めてです。

私の目の前には現実、それも大人としての現実だけがあります。
ほわっとのオペラでは現役学生も仲間ですけれども、
彼らの中ではどこか、学生だけの仲間意識があり、
到底私はその輪の中に入っていくことはできません。
彼らは私のことを、そこそこ年季の入った先輩だと思っています。

・・・この場合、先輩だと思ってくれている、のではありません。
私に言わせれば、「思われてしまっている」のです。
正直、かなり気づまりで嫌なもんです。
だからといって、今更大学院とかに入り直しても仕方ありません。
年寄りの冷や水とまでは言いませんが、
所詮はおっさんのすなること、です。
この、どうしようもないことが、すごく気になるんです。
私の埋め合わせのできないコンプレックスですね。

2012/04/18 03:32 | 私の説明書, 雑筆 | No Comments

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