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2009/10/10

そもそも日本の子どもの成長の基準がミルクで育てた場合になってる時点でおかしいと思うのだけど(ミルクと母乳では質が違うから)。
病院でもどこでも、母乳育児への向かい風はすごい。

みんな赤子はおっぱい=母乳で育つものだと思っているにもかかわらず(みんな、自分がミルクで育ったと思ってないでしょう?)、赤子と哺乳瓶のイメージは切り離せない。
妊娠するととりあえず、「哺乳瓶買わなきゃ」と思うのだからスゴイ(わたしでも一応思った。結局買わなかったけど)。
さらに言えば、市販されてる牛乳はまずい、まともな育ち方をしてない牛だ、という主張をしているかの有名な「美味しんぼ」ですら、主人公の味にうるさい山岡もその奥さんのゆうこちゃんも、自分の子どもにはばんばんミルクを与えている。
この間読んだ、ちょっと有名なエッセイ漫画家が出産した本では、旦那が「母乳なんて、赤子がご飯を食べられるようになるまでのつなぎなんだから、ミルクだっていい」という事を書いていて愕然とした。

少し話がそれるが、わたしは、母乳と言うのは、メリット云々もあるけれど、それは親と子どもの繋がりの象徴だと思っているのだ。
別にミルクだからその繋がらりが形成られていないとか、おっぱいをあげられない男は乳児期の子どもと繋がりが持てないとか言うわけではない。
おっぱいをあげるとき、基本的に赤子は抱っこされる。
乳首をくわえて、ある程度の月齢になれば自分からおっぱいを触ったりして、人のぬくもりを感じながらおっぱいを飲む。
おっぱいは体の栄養源であり、ぬくもりや愛情を感じる心の栄養でもあると思うのだ(好きな人に触ったり触られたりすると気持ちいいでしょう? 嫌いな人だと嫌でしょう? それは感情が伝わってるってことだとわたしは思う)。
ミルクをあげてるのと見てると、ベビーカーにのせたままとか、寝かせたままとか、病院じゃ保育器に立てかけたような状態で飲ませたりする。
それははたして、心の栄養になっているのだろうか。
赤子というのは、生後数ヶ月間はほとんど目が見えない。
見えるのが30センチくらいで、2つの点を追いかける習性がある。
それはちょうど、母親がおっぱいをあげながら覗きこむ高さなのだ。
布団に寝かせたまま哺乳瓶を咥えさせていては、赤子は誰に栄養をもらってるのかもわからない。
自分がそんな存在だったら、それをさみしくは感じないのだろうか?
さて話を元に戻そう。
まず妊娠すると、雑誌で「ミルクと哺乳瓶は買わなきゃいけないんだな」と刷り込まされる。
そして雑誌や病院では「母乳がでなかった場合は…云々」「全員が出るとは限らない」「無理しないでミルクも併用して」と、潜在的に「母乳でないかもしれない」「完母は特別」みたいに刷り込む。
さらに病院で出産すると、生後2~3日は体重が減るので「体重が減ってるので、おっぱいが足りてないのかもしれませんね。ミルクを足しましょう」とさらに「おっぱいが足りていない」と刷り込む。
母親に刷り込むと同時に、赤子に母乳よりはるかに吸うのが楽な人口乳首まで覚えさせてしまう。
退院の時には「おっぱいを飲ませた後はミルクを足してください。ミルクを飲むということはおっぱいが足りてないってことです」と言われ、これを使ってください」とミルクメーカーからミルク2缶くらい渡されて帰される。
家に帰れば、買ってあった哺乳瓶が待っている。
赤子との生活が始まると、とにかくよく泣く。
おっぱいを吸っても泣く。ミルクを与えると飲む。「あぁ、おっぱい足りてないんだ」「おっぱい出てないんだ」と思いこんでしまう。
そしてそのうちその思い込みからおっぱいを吸わせる回数が減り、おっぱいは出なくなり、「わたしは母乳じゃ無理なんだ」と思いこみ、ミルクになってしまう。

わたしが聞いたミルクのお母さんの話はだいたいこうだ。

WHOとユニセフの「母乳育児のための10カ条」に「人口乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょう」という項目があるのは、人口乳首の方が本物の乳首より吸うのがはるかに楽だからだ。
人間、楽な方に流れるのは赤子も同じ。
本物の乳首の数十分の1の力ですむ人口乳首を覚えてしまえば、赤子だってそっちを好むのだ。
それなのに病院では、赤子は生後すぐは体重が落ちるということがわかっているにもかかわらず、退院時に生れた時の同じくらいの体重に戻そうとするのですぐにミルクを足し、人口乳首の楽さを覚えさせてしまう。
しかも、産まれてすぐは母乳はほとんど出ていない。
赤子に吸われる事で母乳を生産するホルモンの分泌が促され、徐々にでるようになってくる。
母乳がでるようになっても、1ヶ月くらいは赤子自身が飲むのが下手な場合が多く、うまく飲めない。
ミルクに比べて母乳は消化しやすく、つまり腹持ちが悪いのですぐにお腹が空いて赤子は泣く(新生児期の量だと30分もすれば消化してしまう)。
そうするとミルク基準の3時間間隔にならないので、足りてないと思い込んでしまう。
(ミルクの腹持ちがいいのは、人間と違って牛がそんなに頻繁に授乳していると食べられちゃう危険性が高いので、母乳に比べたんぱく質濃度が高いので、消化に時間がかかるため)
さらにアホな男子が増え、赤子が夜中に泣くと「うるさい」とか言うので、「ミルクはよく寝る(腹持ちが良いから)」と噂を聞いてミルクをあげ始めてしまったりもする。
そして1ヶ月検診では母乳なら600g増えてれば問題ないというのに、ミルク基準だと少ないから「栄養が足りていない。ミルクを足せ」と言われるのだ。

そうして、妊娠時98%の母親が母乳育児を望んでいるのにも関わらず、産後に帰宅するとその半分が母乳だけでは無理かもしれないと感じ、1ヶ月後には母乳率は30%になってしまう。
生後1ヶ月くらいの赤子はひたすらおっぱいを飲み続けてるといっても過言ではない。
ちょっと吸うと疲れて眠り、お腹がすくのでまた起きて、ちょっと吸うと疲れて眠ってしまう…を延々と繰り返しているのだ。
それなのに、それはおっぱいが足りていない証拠とされ、抱き癖がつくとか言われ、ミルクを与えざるを得なくなってしまう。

しかも、赤子の気持ちを考えてみれば。
数日前までお腹の中で、羊水の中でふわふわしながら体全体をぎゅっとお母さんに包まれていたのに、いきなり外の世界に出てきて、目も見えないのに置き去りにされたら不安で不安でたまらなくはないだろうか。
だから赤子は抱っこしてほしくて泣く。
10ヶ月間(妊娠4~5ヶ月目くらいからしかそういった感覚はないらしいけど)、自分をぎゅーっと抱きしめて守っていてくれた母親を感じていたくて泣く。
それも「抱き癖がつく」とか「母乳が足りていないから泣く」とされる。

逆に、「母乳じゃなきゃだめだ」とプレッシャーをかけられすぎて、おっぱいがでなくなってしまうお母さんも多い。
「なんで母乳じゃないの?」「どうして母乳がでないの?」と自分の母親は旦那さんの母親に言われ、プレッシャーとなり出なくなってしまうのだ。
そんな中で、母乳を貫きとおすのは大変だ。
特に3ヶ月くらいまでは眠気との戦いだし、そうなると「ミルクはよく寝る」というのは甘美な誘惑となる。
こんなに寝ないでがんばってるのに「おっぱいが足りてない」と言われれば、「じゃぁもうミルクでいいよ」となってしまうだろう。
こんなに寝ないでがっばってるのに旦那の面倒もみなきゃいけないくて、夜に「うるさい、眠れない」と言われたり、「夜眠れないのは俺も一緒なのに、おまえは昼寝できていいよな」とか言われたら、ミルクにしたくもなる。
(そんなアホな男は、哺乳瓶で頭をかちわってしまえと個人的には思うけど。それができないなら、それを選んだのは自分だと諦めるか実家に帰ろう)

わたしは。
病院だけではなく。旦那さんもおじいちゃんもおばあちゃんも含めて日本国民全員が、もっと正しい知識を持たなきゃいけないと思う。
それは母乳育児に関してだけでなく、性教育から出産に至るまでのすべてに対してなんだけど。

この記事を読んでくださった人がひとりでも、母乳育児をしたり、母乳育児をすすめたりしてくれたらいいなと思う。
母乳育児の話は、とりあえず、終わり。

2009/10/10 06:45 | 母はまじめに考える, 母乳育児 | No Comments