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2008/07/20

【インタビュー 前半】「髙木 駿一/映画監督」からの続きです)

髙木駿一2

 

生徒たちに先生として思うのは。

――髙木さんはビジュアルアーツを卒業して間もないので、学生と年齢が離れているわけでもないですよね。先生として教えるのって変な感じじゃないですか?
髙木 不思議な感覚ですよ。たまに「恥ずかしいから先生と呼ばないで」って思いますが、まあ5歳ほど離れているので、先生と呼ばれちゃいますよねえ。僕が一番若いんですが、同じような年代の講師も多いですね。

――ビジュアルアーツ卒業生だと、最近は河瀬直美監督が有名ですね。
髙木 
でも先日、学生に「河瀬監督の映画見た人!」って聞いたら、一人しか手を上げなかったんですね。映画を観ている人は減っている感じですね……。テレビやメジャーな映画だけ観ている人が多くて、たくさん観ている人のほうが、少数派になっている感じです。僕らのときは映画観ている人が多かったので、お互いそういう話をして刺激をもらえたんですが。
――今は少し、熱量が減っている感じですか?
髙木 減っているように思いますねえ……そうこうしているうちに、就職活動もしないといけなくなるので、そっちにもエネルギーをとられてしまいますから。
――学生さんの中には、自分の映像作品をいろんな賞に応募している人もいると聞くんですが。
髙木 
今はそういう人もあんまりいないかもしれません……「感覚基地」の人はよく応募してたんですよ。ぴあフィルムフェスティバルにも応募して入賞したひともいましすね。
 うちのビジュアルアーツでは授業で作品を撮るんですが、それ以外にも個人的に作品作ったり、自主映画をたくさん見て勉強したりといった人が減っている気がします。まあ授業内で頑張っているとは思うんですが……。
 そういう意味では、夜間部の生徒の方が意欲は高いんじゃないかなと。僕は夜間部の授業も受け持っているんですが、みんな真剣ですね。どうにかして吸収していこう、少ない時間で多くのことを学ぼうという。僕が思うのは、「昼間部と夜間部が協力すれば、もっとスムーズに作品が作っていけるんじゃない?」ってことです。でもその辺りがなかなか噛みあってないかなと思います。
――昼間部と夜間部の間に交流がないんですか?
髙木 
例えば合宿だと一年生と二年生や、昼間部と夜間部で一緒に組んでやるんですが、授業外だとなかなかやらないですね。自主映画を立ち上げたりしてお互い関わっていけばいいのにと思うんですが。映画を撮っていて楽しいのは、人の輪がひろがることじゃないかなと。たくさんの人と知り合えるし、一緒に作品作ればまた違うものが見えてきたりとか。それはすごく嬉しいことだと思うんです。

 

自分を切り取って、映画を作ろうと思った。

――そもそも、最初に映画に触れたのはどういうきっかけだったんですか?
髙木 
父親が学生時代に映画を作っていて、割と映画が身近にあったんですよ。父親が嬉しそうに解説してくれながら、その映画を見ていました。
 あと、実は小学校の二年生から中学三年まで不登校児だったんです。その間に時間はたっぷりあったので、映画をたくさん見ていました。ある意味、映画に救われた感じです。そういう体験を作品に生かしたいなと思って、学生時代にグループ実習で実体験を盛り込んだ暗めの脚本をプレゼンしたんですが、全然通らなかったですね(笑)。
――じゃあ髙木さんは最初から映画が撮りたかったんですね。ビジュアルアーツの放送映画学科は、映画とテレビの両方を教えていますけど。
髙木 はい、最初から映画でしたね。「テレビ業界志望の人はにぎやかだなあ」って眺めてました。華やかというか元気というか。それに比べて映画が好きな人はちょっと暗いんですよ(笑)。僕も入学当初から「こんな暗い映画が好きだ」みたいな話をして、「あいつはオタクだ」みたいに言われてました(苦笑)。
――たしかに、映画業界志望の人は、心に何かしらのものを抱えている気がします。
髙木 
「こんな過去があって、それを作品にしました」っていう人が多いですね。身を削って作品を作っているというか、過去がにじみでているというか。でもそういう人が、表現者として残っていくのかなあって感じてますね。
――そういう意味では、人生経験をたくさんしていたほうがいいですか?
髙木 そうですね。僕は今、経験をつんでいるところです。例えば学校を舞台にした映画とかドラマとかありますよね。それが不登校だった僕には少し分かりづらいんです。「誰も知っている世界のことでしょ?」って前提で話が作られているんだけど、よく分からないんですね。でもその中にたまに不登校の生徒が出てくる話があったりすると、そっちのほうが分かりやすかったり。そういう感覚のズレで世界をとらえることができるようになったのは、ある意味プラスだったと思っています。
――監督以外にも、撮影カメラマンだったり音声だったり照明だったり、はたまた下働き的な制作だったりと、いろんな役柄があると思うんですが、やっぱり監督がやりたいですか?
髙木 もちろん監督です。技術的なことをそんなに学んでない、っていうのもあるんですが、やっぱり自分で物語を書いて、自分で作っていきたいですね。他の雑務もいろいろ経験しましたが、コリゴリです(笑)。

 

映画を作る現場から、目指す場所へ。

――こうして映画を作る側に立つようになると、素直に映画を楽しめなくなりませんか?
髙木 
いやあ、ちゃんと物語として観れないことも多いですね。常に構図とか撮影技術とかに目が行っちゃいますから(笑)。でも、感情移入できないわけじゃないんです。「監督はこういう話の流れにしようとしているんだな」というのが感じられて、それが不快じゃなかったら気分を乗っけていくんで。ひねくれた見方もできるようにはなったんですけど、映画はそれだけじゃないってことも分かっているので、純粋に楽しめる気持ちも残しています。
――レンタルビデオで借りたりもしています?
髙木 あ、僕はあんまりビデオやDVDでは観ないんです。映画ってもともとはテレビ画面向けに作られているものではなくてやはり映画館を想定しているので、小さい画面で観るよりは、って思いますから。映画作品として味わうためには、映画館で観た方がやっぱりいいと思っています。このスタンスは守っていきたいですね。
 映画はそもそも、まず観るものだと思うんです。映画制作側から「この映画はこういうものだから」って発信するのではなく、観客がそれを観てどう感じるかがまず優先。もちろん監督の主張がまったく入っていないわけじゃないですけど、受け取り方を制限しすぎないような作品を作っていきたいですね。

――ところで、今日のインタビューの前にも何か新しい企画を書いてたと聞いたんですが……。
髙木 
はい、文化庁の若手映像作家支援プログラム用の企画です。CO2から文化庁のワークショップへ、そして成績が良かったら、また助成金で撮影できるようになるんです。狭き門ですが、挑戦しようと思ったので企画を作っていました。『都会の夢』でCO2に関わっていないとできなかったことなので、活動がつながっていってるなあと思いますね。
――東京はそういう映像志望の人たちが多そうですか?
髙木 やっぱり多いと思いますね。大阪や他の地域で頭角を表した人が次にどこを目指すかってなると、東京になるんですね。そういう感じで、いろんな地域のおもしろい人が集まってくる場所として、東京という存在は大きいですね。
――東京行きたいですか?
髙木 自然な流れで行きたいですね。がっついて行くと都会の荒波にやられそうなんで、「東京が俺を呼んでいるから」みたいな感覚で(笑)。
――次はいつごろ動きます?
髙木 ワークショップに行ければ忙しくなりますし、まだまだ先が読めない状況ですね。「感覚基地」の上映会も8月末に開催しますし。今後どうなるか分かりませんが……本音は、自分の作品を何回も公開してもらえるようになりたいですね。『都会の夢』も大阪で2回、池袋では1回だけの上映だったので。「二作品連続上映!」とかしてみたいですね(笑)。

髙木駿一3

髙木さん、ありがとうございました!

■「感覚基地」第9回映像作品上映会

日時/ 8/22 [Fri] & 8/23 [sat] open18:30 start19:00~
場所/ ギルドギャラリー(http://guildgallery.net/
詳細は「感覚基地」ホームページ
http://kankakukichi.fc2web.com/


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