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「独創力」を花開させるための3ヶ条、糸川英夫先生(日本のロケット開発の父) 曰く、
- 徹底した学習 (徹底的學習; A thorough and comprehensive study)
- 粘り強いやる気 (高度的熱情; A tenacious motivation and persevering in research)
- そして、出会いである(社會聯結; Chances for meetings and connections)
()内は、台湾中国語と英語訳。
(勝手な解釈ですが)どういうことかというと、
現在の研究・開発(科学以外でも)は、人類の過去からの積み重ねで成り立っている。その分野で独創的・パイオニア的な仕事をするには、過去にどんな人がいて、何をやったのかを徹底的に学習することから始まる(もちろん、現在の世界中の動きも知る必要がある)。情報がインターネットで溢れる現代、自分が本当に必要な情報を選んで学習することも、また重要となる。
そして、粘り強いやる気こそ、一番大切なことではないだろうか。壁にぶつかった時こそ、粘り強さが新たな展開を生み出す。失敗を繰り返しても、試行錯誤を重ねることで、次の一手が見つかる可能性が広がるのである。
一人で独創性のある仕事を成し遂げたら、それは素晴らしい。同業者と協力して成し遂げるのも良い。同業者以外の人々と接して、創造性が生まれる場合もある。そして、自分が如何に素晴らしい独創力のある仕事をしたとしても、それが世に認められなければ、埋もれてしまうことになる。独創性を生み出す切っ掛けになったり、独創的な仕事を世に広める絆になるような “出会い” もまた大切なのである。自分を支えてくれるこれらの “出会い” には、常に感謝の気持ちを持ち続け大切にしたい。
この3ヶ条;「学習・根気・出会いと感謝の気持ち」を常に心に留めておくように、次の一年を過ごせたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
追伸、
7月31日は、以前住んでいた神奈川県相模原に出向き、JunkStageスタッフの方々と「探査機はやぶさ」の地球帰還カプセル一式(ヒートシールド熱防御材, パラシュート, インストゥルメントモジュール,カプセル(プロトモデル)) を見学した。午前10時30分に到着したものの、猛暑と長蛇の列にげんなりして諦めて、宇宙研特別公開の見学に徹した。会場では、はやぶさプロジェクトメンバーの皆様にも再会できた。また、一般見学者に混じっておられたハヤブサ立役者でラッコ提唱者であるNECのエンジニアさんにも、イカロスの横で偶然再会して歓談した。諦めて帰りかけていたのだが、NECのそのお方の「今なら空いていますよ」の一言で、なんとか日暮れに1時間強待ちの列に並んでカプセルを見学できた。オーストラリアの砂漠で、目の前の夜空を通過して行ったあの時の眩い光は、この「ヒートシールド」のアブレーション発光だったのだなぁと感慨無量の瞬間であった。
8/15-19に東京丸の内で見学できるそうなので、まだの方は是非どうぞ。目玉は、偽物(モデル)のカプセルではなく、宇宙帰還からカプセルを守ったヒートシールドでしょう。
大人気の「はやぶさ」ブース。小惑星イトカワに到着したころは、こんなに混んではいなかったはず。
祝賀会に出席できなかったので、特別公開の日に頂いた記念品(特性4GbUSBメモリ)。中には、なんと小生ら地上光学班がオーストラリアで撮影した映像が入っていた。
ヒートシールド(前面)と山田先生(左; ヒートシールド開発責任者)、川口先生(右; はやぶさ開発責任者)。プレス写真より。
行列に並んでいる間に「イトカワ揚げパン」を食べ、お土産に「はやぶさ煎餅」を買った。砂粒は入っていなかったが、砂糖の粒は入っていた。
PS;
惑星地質ニュース「地球の果てでハヤブサを迎える (阿部新助)」
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