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2010/07/06

ハヤブサは粉々になって地球大気の一部になった。ハヤブサの灰は、貿易風に乗って地球の陸地や海底に降り注いでいる頃だろう。。。

我々(JAXA光学班)が撮影したハヤブサ・地球機関の映像 

一方、ハヤブサが残した虎の子のカプセルの内部の一部がいよいよ開けられ、昨日記者会見が行われた。

http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/0705.shtml

サンプルコンテナは、内部を真空に保ったキュレーション設備に収められており、コンテナの蓋を開け、サンプル・キャッチャーを取り出し、A室の蓋が開けられた。初期捜索から、0.01mm (10μm)程度の大きさの粒子が2つ見つかった(写真1)。ダスト形状は、宇宙塵(成層圏で採取される宇宙起源の塵)には似ていないとのこと。成層圏・宇宙塵も地球大気突入の影響を受けているので、直接比較はできないので、イトカワ起源の可能性は否定できない。

Capsule-dust1 (JAXA提供)

目視で確認できる物質が、サンプル・コンテナに確認できるが、これは、コンテナを開けた先月末の時点で分かっていたもので、この大きさからして小惑星以外からのコンタミの可能性も考えられるが、それにしては大き過ぎる気がする(写真2)。

Capsule_dust2 (JAXA提供)

サンプルコンテナの中には、サンプル・キャッチャーが収納されているキャッチャー内部は、A室とB室に分離されており、第一回目の着陸時の時にはB室が、2回目のタッチダウンではA室が開かれ、サンプルが導かれるようになっていた。A・B室共に、着陸・タッチダウン後に速やかに閉じられた。探査機が姿勢を崩してロスとされ、通信が復活した数ヶ月後にサンプルをキャッチャに導いている捕集チューブがキャッチャ部から退避させられ(うろ覚え)、キャッチャ部を回収カプセルへ搬送し、キャッチャ部はカプセル内の真空コンテナに格納、固定された(写真3)。

カプセル機構 (JAXA提供)

従って、今回開けたA室よりも、小惑星表面に複数回バウンドして、30分間表面に滞在した第一回目の格納室Bの方に期待が持てる訳だ。

キャッチャーの全容積は、約70cm3で、最大粒径10mmまでの粒子を捕獲できる仕組みになっている。キャッチャ内には、全サンプリング終了後サンプルが回転筒を通して外部に漏洩しないようサンプル漏洩防止板が設置されている。

摺動部品を除く全ての構成部品については、サンプルへの不純物付着を極力低減するために、表面に純アルミコーティングが施されている。またキャッチャカバーには、サンプル回収時までのコンタミ付着レベルをモニタする目的により、コンタミネーションクーポン(サファイア製円盤と高純度アルミ枠で出来た支持柱; Stardust彗星サンプルリターン探査機で用いられたものと同型)が取付けられている。

また、カプセルの各部分には、大気突入で経験した温度を知るためのシールが貼ってあったはずである。このシールは、何度以上の温度を経験すると色が変わるといった単純なものだが、最終的なカプセル内部への熱の進入についても知る事ができる重要な情報である。

いずれにしても、分析結果が出れば全てが明らかになる。

ハヤブサが、ここまでして地球に戻ってきたのには訳がある。それは。。。。

7月30-31日にJAXA・宇宙科学研究所の一般公開が相模原である。ハヤブサの地球帰還カプセル(実物)も、展示されるそうなので、ハヤブサやイカロス、アカツキなどの最新情報も含め、今年は特に楽しめそうである。

追伸;

JunkStage代表の須藤優さんが、ハヤブサを切っ掛けに台湾にいらっしゃることになった。行き先は未定だが、取りあえず南へ向う?

http://www.junkstage.com/world/yuu/?p=672

2010/07/06 12:23 | 天文・宇宙 | No Comments