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ハヤブサ探査機が地球大気に突入する、まさにその直前の姿を見た。
大きな翼を広げ、満身創痍の倒れ込むような格好。地球大気の摩擦で全身が燃え始め輝いている。地球に抱かれ、燃え尽きる覚悟はできている。
その数キロ先を、カプセルが飛翔している。小惑星イトカワから持ち帰ったカケラだけは無事に地上へ届くように、最後の力を振り絞って切り離した虎 の子だ。
ハヤブサは、ウーメラ砂漠上空で最期を迎えつつあった。粉々に砕け、青、緑、橙、紅蓮の光を放つ星粒のようなフラグメントは、それぞれが、僕らが 手塩にかけた君のパーツだ。
バラバラになり燃え尽きる巨大なハヤブサ火球の中から、オレンジ色の一筋の光が飛び出した。飛び出した光点は尾を引きながら、力強く地上へ向けて 突き進む。
「ただいま!」
「 待たせたね。やっと、地球に帰って来た。」
「みんなのもとへ、僕からの最期のメッセージが届くように!」
” オカエリナサイ、そして、お疲れさま、ハヤブサ!! ”
遥か彼方、小惑星イトカワからのメッセージを必ず届けるという意思を受け継いだカプセルは、身にまとったヒート・シールドで大気衝突の凄まじい加熱に打ち勝 ち、パラシュートを展開して、とうとう僕たちのもとへ戻ってきた。
ハヤブサは、小惑星からのロゼッタ−ストーンを地球に届け、その命を全うした。
君と過ごせて、本当に幸せでした。
はやぶさに関わった皆様、お疲れさまでした。そして、応援してくださった皆様、ありがとうございました。
阿部新助 ウーメラにて。
(光学班・阿部新助)
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