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2009/06/18

既に猛暑の台湾、今日は34℃とうだる暑さである。さて、そんな台湾で熱いモノの代表と言えば「火鍋」と「温泉」である。世界で最も温泉密度の高い台湾全土には、100以上もの温源が沸々と湧き、その歴史も100年以上である。日本はもとより、チェコ、ハンガリー、ドイツ、(クロアチア)などの温泉街(やヌーディスト・ビーチ)を巡る程の温泉好きである小生にとって、台湾はまさに温泉天国。ほぼ毎週のように温泉地を巡っている。台北周辺では、北投、新北投、陽明山、烏来などの温泉場が有名で、何度か足を運んだ。台湾の温泉文化は、日本統治時代に日本人が温泉を整備して広めたものが多い。我々日本人にとっては、故郷の心地良さを感じる。しかし、こちらでは「裸=野蛮」という概念がある(あった)ため、水着着用の混浴温泉も多い。最近は、ようやく「裸の付き合い」の文化が定着してきて、台湾でも裸で入れる風呂が増えて来たようだ。さすがに、まだ裸の混浴には出会っていないが。

台灣温泉 台湾の温泉風景。水着着用の混浴風呂(北投温泉にの「広告看板」を撮影)。

さて、先週は、現在韓国で働くチェコ時代の友人(旅する物理屋さん)が遊びにきたので、台湾の東部へ1泊2日700kmの男二人旅に出た。

Taiwan East車で移動した行程(往復700km)

まずは、台湾のグランドキャニオン、「太魯閣(タロコ)國家公園」 へ車で向った。太魯閣(タロコ)とは原住民、タイヤル族の首長の名に由来する。入り口では、原住民族の阿美族の子供達に迎えられた。

 

アミ族台湾人口(2300万人)の約2%は原住民である。日本統治時代には高砂族と呼ばれていた。アミ族が18万人と最も多く、タイヤル族の8万人がこれに次ぐ。小生の友人の約10%は原住民で、先日は、彼らの住む山岳の村に滞在した。

台湾島は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの狭間で、年間5.5mmずつ上昇している、世界で最も隆起速度が大きな場所として知られている。南北約38㎞、東西約41㎞の巨大な國立公園は、2000m〜3000m級の山々が、まさに海から切り立った壁の様に連なって形成されており、見事な断層があらわに目の前に聳えたっていた。日本近海では、未だ4000メートルの海底に沈んでいる年代の断層が、ここでは地上遥か上まで龍のごとく出現している。地質屋が喜ぶのもうなづける。切り立った岩壁をえぐって作られた道路が続く。いつ落石があるか、ハラハラのドライブ。前を行く観光バスは、天井の岩壁に接するような状態で進む。
太魯閣1太魯閣3太魯閣4九州ほどの台湾島で、こんな壮大な景観を楽しめるとは意外であった。長野県の乗鞍を思わせるが、その急峻さと自然美は、台湾の方が数段上である。

地球の息吹を思いっきり満喫した我々が向った温泉は、太魯閣の奥にある文山温泉。

1914年、台湾総督府が原住民族のタロコ族を討伐するタロコ討伐の最中、日本兵部隊の深水少佐が発見したことから、深水温泉と呼ばれた。大北投温泉と改称された後に、文山温泉という名称に至った。
大沙(タウサイ)渓のほとりから湧き出すという立地条件のため、大雨の後は川が運んできた土砂が堆積することから、太魯閣国家公園管理所が2001年に改修を行った。安全設備を充実させ、観光客の利便をはかり、天祥晶華酒店が維持補修を行っていた。

まずは、入り口を探すのに一苦労。ガイドブックの写真と照らし合わせながら、トンネンルの横にそれらしき入り口を発見。でも誰もいない。おかしいなぁ。すると、立て看板には、温泉への路が寸断されている為、立ち入り禁止と書いてあった。

文山温泉

しかし、小生は、やる気満々で温泉道具をリュックにつめて向った。立ち入り禁止の立て看板を通り越すと、さっそく土砂崩れで路が塞がっていた。

旅する物理屋さん; 「なんかここに線香がありますよ」
「なんかあったんじゃないすか!! ここ!!」「絶対なんかあったんすよ!!」
と躊躇してなかなかやって来ない。

旅する天文学者; 「そういうのは、気にしない方がいいっすよ」
と土砂崩れ現場を颯爽と乗り越えて行く。

旅する物理屋さんも渋々あとをついてきた。渓谷へ降りて行くと、そこには立派な脱衣場が現れた。しかし、そこからは、ものすご〜く厭な感じが背筋を凍らせた。脱衣場には近づかないようにして通り過ぎると、岩のトンネルがあり、トンネルの中には鉄格子がはめられてあり、そこか先にある吊り橋へは進めなかった。彼はトンネルには入って来なかった。渓谷を覗くと、川の脇に岩で仕切られた温泉場が見えたが、温泉は出ていない様子。さすがに、崖を降りて行くことはできないし、温泉も出ていないようなので、諦めて退散することにした。帰路も、ものすご〜く厭な気を背後に感じながら渓谷から上がってきた。

旅する物理屋さん; 「あべちゃん霊感があるけど、なんか感じなかった?」

旅する天文学者; 「ものすご〜く、イヤな感じがしたね。特にあの脱衣場」

旅する物理屋さん; 「やっぱそうだったんだ。絶対なんかあったんすよここ」「まだ足の震えが止まらないすよ。。。」

彼は、撮影した全ての写真をその場で消去していた。小生も何か写っていると厭なので、脱衣場とトンネルの写真だけは消しておいた。

その夜、ホテルのインターネットで調べると、

2005年4月3日16時半ころ、土砂崩れが発生して多くの観光客が巻き込まれ、2人が死亡5人が負傷した。それ以降、文山温泉は閉鎖され今日に至っている。

とのことだった。何かに引き寄せられるように、危ない場所に行っていた訳である。

通行止めになった生々しい落石現場も通過した。ここ(九曲洞遊歩道)では、つい2週間前に日本人らが怪我をする落石事故が発生していたことを後で知った。

九曲洞遊歩道 通行止めになっていた九曲洞遊歩道

九曲洞遊歩道ではは4月末から5月末にかけての一ヶ月間に落石 による事故が4件起きており、太魯閣國立公園管理處は五月の初めから、九曲洞遊歩道において無料でヘルメットを提供し、安全指導を強化すると同時に、地質 専門の張石角教授に有効な措置の構想を委託するなど積極的に解決策を模索しています。

太魯閣國立公園はその壮麗な高山と峡谷の景観を見ようと多くの 訪問客が訪れますが、常に自然落石のリスクが存在しており、特に地形の嶮しい太魯閣峡谷は落石の危険が高い地域です。みなさんも訪れる時は、以下のウェブの情報を調べてから気をつけて行動してください。http://www.taroko.gov.tw/

その晩は、花蓮市内のChinatrust Hotel(中信大飯店)のSPAで霊気を追い払った。
中信大飯店

翌日は、更に南下して別の温泉へ。

途中、東台湾最大の内陸湖である「鯉魚潭」に寄ったが、偶然にも、カヌーポロの国際大会を観戦。そんな競技があることを初めて知った。昨夜泊まったホテルに大量にいた日本人、体格の良いラテン系、アラブ系、東洋系が戦っていた。なかなかハードなスポーツであった。
鯉魚潭

更に進むと、突如
校長夢工廠(Principals’ Dream Factory) という看板に遭遇。これは、トンデモ系かもしれんが、何かあるなと感じた我々は、迷わず看板の案内にある花蓮県鳳林市に乗り込んだ。そこでは、予想外の貴重な時間を過ごすことができた。校長夢工場は、日本人が遥々来たということで、ちょっとした騒ぎになった。105名の校長先生を排出した台湾で最も校長密度が高いその村で、片言の日本語を話すボランティアガイドの案内で1時間以上を過ごすことになったのであった。。。。。。恐るべし校長パワー。
校長夢工場校長夢工場

校長に捕まってタイムロスをした我々は、北回帰線制覇は諦めて、本日のメインである紅葉温泉と瑞穂温泉へ向った。そこは、貸し切り状態で、最高の露天風呂を楽しむことができ、満足のいく一時を過ごした。

紅葉温泉(120元)。サラサラとした泉質。

紅葉温泉1紅葉温泉

風呂上がりでまったりしていたら、地元の人達が、原住民の酒「小米焼酒」を分けてくれた。「小米酒」は原住民の酒として有名だが、焼酒の方は初めて飲んだ。濁り酒の部類と感じた。

小米焼酒

風呂上がりで飲んだ、椰子ジュース。店のオヤジは車で来るなり、ベンチで昼寝開始。
おっ昼寝に来たのかと思っていたけど、小生らが椰子を満載した車に近づくと突如起き上がって、商売商売。

旅する物理屋さんは「高いからいらねぇ」と言ったけど、小生は3本100元で購入して二人で飲んだ。以前飲んだ椰子ジュースは、ぬるくて不味かったが、ここのは冷やしてあって悪くは無かった。それにしても、あのやる気無しオヤジが超ご機嫌になった、そのギャップが台湾人らしくて面白かった。やれやれだぜ〜(JoJo風に)・・・
瑞穂温泉(150元)。泉質は、神戸の有馬温泉の金泉と同じらしい。

瑞穂温泉瑞穂温泉2

個人的には、紅葉温泉の方が、雰囲気的にも寛げて良かった。一方、瑞穂温泉は、泉質は良いのだが、風呂全体の作りに風情が無い。もっとやり方を帰れば、有馬温泉のように有名になるのではないかと思った。

貸し切りでとても良かったのだが、経営が成り立っているのか疑問でもあったが、こういう田舎の温泉は静かで良いものである。

最近自宅から車で5分の場所に、天然温泉が掘られて温泉・プール・ジム&宿泊施設が誕生した。台湾のアパート住宅では、通常バスタブはなく、シャワーが一般的であるため、湯船につかれる施設が自宅近くに出来たのは幸運である。さっそく会員になって、仕事帰りに温泉でリラックスしている。

2009/06/18 02:38 | 台湾, | No Comments