Home > 台湾

2010/01/29

ハイチ(海地)共和国は、中央アメリカの西インド諸島に位置する、世界初の黒人による共和制国家である。ドミニカ共和国と国境を接する島国で、カリブ海・ウィンドワード海峡を隔てて北西にキューバ、ジャマイカ海峡を隔てて西にジャマイカが存在する。総人口は約1千万人。ハイチ時間の2010年1月12日16時53分(世界時=21時53分)に起こったマグニチュード7.0の地震で、首都ポルトープランスでは、首都の3/4が壊滅的打撃を受け、大統領府や国会議事堂、台湾大使館など多くの建物が倒壊し、死者最大20万人と予測されている。ハイチは、台湾にとってとても大切な国である。台湾を国家と認める国は、世界にたった23ヶ国しかない。ハイチは、数少ない国交のある国の一つなのだ。

Haiti

小生が神戸を去るときに、神戸市灘区役所に提出した届け出住所に「台湾…」と記入したところ、「中国…」と強制的に書き直させられた。お互いにビザ無しで自由に観光旅行ができる日本と台湾は友好国なのに、日本は「台湾」を国として認めていない、つまり公式な国交が無いのである。従って、両国間に大使館も存在しない。ちなみに、(大陸)中国と日本は国交はあるが、中国人のビザ無しでの日本入国は認められていない。

台湾の外交関係を調べると、ここ10年間で、これまで国交があった、マケドニア、リベリア、ドミニカ国、グレナダ、ナウル、セネガル、チャド、コスタリカ、マラウイが、(大陸)中国による金銭援助という名の下の買収により、国交が断交されている。1970年には、67ヶ国あった国交国が23ヶ国に減った。国連や世界保健機関(WHO)等にも加盟できないのも全て、覇権的な態度で、大きな経済力をもって台湾を圧迫しようとする、中国の卑劣な政治活動と言える。

今回のハイチ大地震で、中国は100万USドルの支援を約束し、すかさず台湾は、その5倍の500万USドルの支援を打ち出した。日本も500万USドルの支援を行うことを発表している。一方で、カリブ海諸国での影響力とキューバを牽制する目的もあり、米国は1億ドルを支援し、大量の兵士を送り込み、 中南米の左派国の非難を受けている。多くの人々が苦しんでいるハイチを前に、このような政治的目論みの援助が遂行されているとは悲しい限りだ。

ハイチへの救援物資を載せた台湾の軍用輸送機が、グアム、ロサンゼルス、フロリダの米国領内の3カ所を経由して、ドミニカに到着した。1979年の米国との断交以来、台湾軍機が給油のため米国領内での着陸が許可されたのは初めてとのこと。昨年8月には、モーラコット台風による台湾中南部の大被害の救助のため、米国軍が1999年の集集大地震以来10年振りに台湾に上陸し、中国が非難をしている。

さて、ハイチ支援を行う台湾では、ハイチからの留学生を広く受け入れている。小生が働く國立中央大學にも、多くのハイチ留学生が中国語の勉強に励んでいる。中国語の授業を受講している小生も、ハイチ留学生らと知り合うことができた。ハイチ語とフランス語を母国語とし、流暢な英語も話し、更に中国語もペラペラと話す姿をみて衝撃を受けた。母国の大惨事で家族を失った學生もいるが、彼らはラテン系の明るさを失わず、日々勉学に精進している。 加油!(頑張れ!)

台湾へ入国する観光客で一番多いのは日本人である。美味い飯食べて、マッサージして、温泉入って、台湾人の優しさに触れて帰っていくだけでなく、日本人は台湾のこういう事情、日本と台湾の関係なども知った上で、観光に来て欲しい。

國語授業の同學達。ハイチ人、アメリカ人、イタリア人、タイ人、ホンジュラス人、台湾人、と日本人。タイ人學生の家族が経営するタイレストランにて。

NCU國語同學

台湾と国交を結んでいる23ヶ国の分布。(http://blog.goo.ne.jp/szyu より)

23 countries accepted Taiwan

  • 東アジア・オセアニア; パラオ、ツバル、マーシャル諸島、ソロモン諸島、キリバス、ナウル
  • ラテンアメリカ; セントルシア、グアテマラ、パラグアイ、セントヴィンセント・グレナディーン諸島、ベリーズ、エルサルバドル、ハイチ、ニカラグア、ドミニカ共和国、ホンジュラス、パナマ、セントクリストファー・ネイビス
  • アフリカ; ブルキナファソ、サントメ・プリンシペ、スワジランド、ガンビア
  • ヨーロッパ; バチカン市国
08:03 | 台湾 | No Comments
2010/01/05

グレゴリオ暦、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

台灣で年を越したが、新年を迎えた感じが全くしません。こちらの正月休みは、1月1日だけ。NHK紅白を見ながら、気分を盛り上げようとしましたが、何事もなかったように年が明けました。テレビの中継で、世界一高い台北101ビルから打ち下げされる花火中継を見ながら、日本と時差1時間の台灣が新年になったことを知りました。ちなみに、台北101(509.2m)は、2010年1月4日にドバイに完成したブルジュ・ドバイビル(828m)に世界一の座を奪われました。

新暦の正月を祝う日本は、アジア諸国では少数派で、台灣や中国、韓国などの殆どの東アジア諸国では太陰暦、いわゆる旧暦の正月を盛大に祝うため、正月休みはまだ先です。旧暦は、月の満ち欠けを基準にした暦で、新月 (朔)となる日をその月の一日として日付を数えます。三日月は三夜、半月は七夜や二十三夜、満月は十五夜です。一方、現在一般的に使われている西暦は、太陽暦、いわゆるグレゴリオ暦や新暦と呼ばれるものです。グレゴリオ暦は、1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が制定してもので、太陽の動きを基準に1年を365日とし、4年に1回閏年を設けて366日にし、400年に3回は閏年とせず平年とする。詳しく言うと、西暦年を4で割り、割り切れる年は閏年となります。但し、西暦年を100で割り、割り切れる年は閏年とはしません。更に、西暦年を400で割り、割り切れるとしは閏年とします。閏年が何故こんな複雑?な定義なのかというと、太陽が地球を回る周期が365.25日であるために、太陽の動きとカレンダーがずれてきてしまうからです。日本では、明治5年(1872年)にグレゴリオ暦が採用され、明治5年12月2日の翌日が明治6年1月1日になっています。

さて、2009年の旧暦1月1日は、2009年1月26日でしたが、2010年の旧暦1月1日は、2010年2月14日です。これは、2009年の5月と6月の間に閏月が挿入されたので、2010年の旧暦元旦は、2月中旬にずれ込みました。 月の満ち欠け(1朔望月)は、29.3 〜 29.8 日の間で変動し、平均周期は29.53日ですので、旧暦の1年は354.36日になり、1年間で約11日、新暦より短くなります。これでは季節(太陽の季節変化)と月がずれて困るので、閏月を導入し、1年が13ヶ月になる年が旧暦には設けられます。19年に7回程度、この閏月を導入します。中秋の月(十五夜祭り)の時期が、大きく異なる理由も同じです。

台灣では、新暦や旧暦の正月を迎える頃には「新年快楽 (xin nian kuai le; シンニィェンクアイラ)」というのが挨拶となりますが、日本の「あけましておめでとう」とは異なり、むしろ「A Happy New Year」に近い表現です。従って、新年が明ける数日前から「新年快楽」が「良いお年を & あけましておめでとう」という意味の挨拶として使われています。

台灣の旧正月が訪れるまでは、あと1月余ありますので、仕事ももう一踏ん張りといったところです。

2010年は、いよいよ小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還します。

小生も台灣を拠点に、今年も世界を東奔西走して研究活動を繰り広げていくことになりそうです。みなさまと地球の何処かでお会いできることを楽しみにしております。

2010 New Year Card

04:02 | 台湾 | No Comments
2009/12/23

秘書さんから郵便局の人が小生を探していると聞いていた。丁度、日本-台湾惑星科学ワークショップと、直後の鹿林観測所出張などですっかり忘れていたのだが、今日郵便局に行った時に、窓口のおばちゃんに聞いてみたところ、小生宛の「督促状」が届いていた。

罪状; 速度超過
撮影日時; 2009年10月4日 09:51:12 (LST)
場所; 台北市 重慶北路4段

計測速度; 61 km/h
法廷速度; 50 km/h
超過速度; 11km/h

罰金; 1600 台湾元 (食費1週間分)

いやはや、とうとうここでも捕まってしまった。

台北に行った際、高速道路の降り口を間違えて、Uターンした後に撮影されたようだ。それにしても、高速を降りたばかりの4車線大通りが 50 km/h 制限とは全く分からないし、更にたった11 km/hオーバーである。罰金支払い期限は、11月23日だったらしい。書類を見ると、この書類を受け取ってから15日以内に支払えば良いと書いてあるので、問題はないようだ。台湾のオービスは、後ろから撮影するタイプなので、小生の愛車「スズキ SWIFT」の華麗な後ろ姿が刻まれた記念写真も同封されていた。この写真は、貰って良いとのこと。

窓ガラスには、日本では違法になるような真黒な遮光シートが貼ってあるので、内部の様子は見えない。台湾は、夏の日差しが強烈なので、フロントガラスにも遮光シートを貼るのが普通である(ただし、夜の運転は外が見えず危ないので、貼っていない車も多い)。小生の車も、フロントの上部にはこれと同じ濃さのシートを貼っているので、前から撮影されても顔は映らない。これが理由で後方から撮影しているのか否かは定かではない。

以前日本で天体観測に行く途中、やはりスピード違反でオービスに捕まった.検察官に呼び出された際に「この写真くれませんか?」 と本気で頼んだが断られた(怒られた?)。ようやく念願のオービス記念写真を入手できた訳だ。

Over speed-1

気になるのは、速度の小数点以下が無いこと。つまり、速度の測定精度は 1 km/h ということである。日本のオービスに捕まった時は、小数点以下1桁まで表示されていたので、本当にそんな精度があるのか疑わしく、簡易裁判前に検察官に文句を言ったことがある。それとも、台湾のオービスはドップラー式なので、測定精度はまあこの程度なのだろう。先日、台湾の正式な免許証を入手したばかりだし、減点制度を導入するとかされたとかの噂を聞いるので、果たして小生の持ち点は何点か気になるところだ。これで、小生の愛車でのスピード違反歴は、日本、チェコ、ドイツ、台湾の4ヶ国になった。アメリカでは、レンタカーでエドワーズ空軍基地の軍警察に捕まっているので、5ヶ国目か。チェコは汚職警官だったので、違反金をその場で値切り交渉した。

台湾の交通ルールはあってないようなもの。11 km/h のスピード違反者より、もっと悪質なドライバーを捕まえて欲しいものである。

とにかく、安全運転で行きましょう。

10:10 | 台湾 | No Comments
2009/11/30

火星ミッションデータを使って、ランパルト・クレーターを研究しているある學生(現在は、アシスタント)の修論の面倒をちょっと見たのだが、彼の依頼で推薦書を4通書いて以下の大学へ送信した。

  • University of Colorado at Boulder
  • University of Washington
  • University of Arizona
  • University of Hawaii

まず、各大学から直接小生宛に直接連絡がきた。現在、推薦書はウェブから送信できるシステムが、アメリカでは標準となっていることを知った。もちろん、手書きの推薦書を送る選択も可能である。小生の経験では、少なくとも日本では、自分で自分の推薦書の下書きを(これでもかと言うほど褒めちぎって)書いてからボスに清書(褒め度合いを訂正)してもらう程度の軽いモノだったが、アメリカでは推薦書はかなり重要視される重いモノである。推薦する側にも責任が生じるため、本当に推薦できる人物でなければ推薦を引き受けない。以前、某大学の人事に関わった時に、他の研究者の海外からの推薦書を読む機会があったので、その時の内容などを思い出してみると、受け入れ教官だったり、実際に仕事をいっしょにしたりするほどの親密な関係者からの推薦書が殆どで、その内容も公私に渡って細部まで記されおり、推薦書だけで人物像が十分に想像できる内容だった。

推薦書を書くにあたって、

  • 推薦者と、どの程度の関わりを持つのか?
  • 推薦書の具体的な評価基準?

についてまず求められた。評価基準は、現在、Assistant Research Professorである台灣中央大學天文研究所の院生と、以前、Assistant Professorだった神戸大学地球惑星科学の院生を基準対象にした旨を明記した。また、以下の評価項目について、5段階の評価を求められた。他の大学も基本的に同じような評価項目と評価段階である。

  1. Below average
  2. Average
  3. Above Average (top 25%)
  4. Outstanding
  5. Truly Exceptional
  • Intellectual ability
  • Motivation Research potential
  • Ability to work with others
  • Ability to work independently
  • Oral communication skills
  • Written communication skills
  • Imagination and creativity
  • Maturity
  • Overall ability

小生はその學生の修論の提出前の面倒と、審査を引き受けた程度の薄い関係だったので、彼を直接呼び出して、1時間ほど面談をした。小生が感じた善し悪しは、そのまま評価項目と推薦書に反映させるのが目的であった。

そこで彼は、5千円 はしそうなフランス産の生チョコ(1kg)の巨大な包みを持ってきた。台湾では、チョコレートは高価な食べ物である。チョコに目がない小生のことを知って知らずか、いずれにしても大変心がけの好い學生である (決して収賄ではない)。

ここ数日は、鼻血が出るぐらいのペースで生チョコを食べて続けており興奮気味。さて、気分良く推薦書を仕上げたあとで、気になったのでチョコの値段を調べてみた。http://www.farawayfoods.com/tdftruffles.html

台灣ではいくらかは知らないが、米国では 9.9 USドル で販売されていた。

む、む〜ん。

取りあえず、アメリカの大学院に無事に合格してくれるとことを心から願う!!

台灣で教授になることを目標にしている彼が、アメリカで博士号を取り、いつかいっしょに太陽系探査ができれば、最高に sweet である。

生チョコ

05:39 | 台湾 | No Comments
2009/11/17

ご無沙汰しております。3ヶ月間更新が無かったので、既に登録抹消されたかなと思いながら久々にJunkStageの皆様の記事を*海外*成田で拝見しています。今、ハワイから台湾へ帰る途中の成田国際空港ですが、日本へは入国していません。さて、トランジットの時間を使い、インターネット無料コーナーから近況報告を記したいと思います。

7月19-24日;豪雨の上海皆既日蝕

五島光学研究所、プラネタリウム職員らで構成されるインターネット・ライブ中継チームに参加させて頂いた。アマチュア天文の世界では、流星嵐、巨大彗星、オーロラ、皆既日蝕を天文四大現象と呼び、すべてを達成することがある種の目標になっている。小生は、しし座流星嵐、百武彗星、ヘールボップ彗星、チェコでの見事なカーテン・オーロラ観測を達成しており、皆既日蝕を観ることが、最後のアイテムであった。しかし、上海郊外の上海交通大學にて観測を行うも、皆既直前に太陽が隠れ、なんと雷鳴轟く豪雨に見舞われながら闇夜を迎えるという、貴重な体験をした。四大天文現象達成は、次回、イースター島?、オーストラリア?に持ち越された。日蝕後、上海で大学時代の天文サークル仲間等と久々の再会を果たした。

Eclipse1Eclipse instrumentsEclipse3ShanghaiShanghai2

8月26-9月3日;ボストン滞在、天下のハーバード大学にて初の講演

10年振り2回目のボストン滞在。今回は、ハーバード大学で開催されたPanSTARRS(パンスターズ)プロジェクトのサイエンス・コンソーシアム会議。いよいよ、この初冬からの本格的な全宇宙サーベイ開始を前に、各分野のサイエンス・クライアントやデータ処理系、そしてサイエンス・テーマの発表と討論が1週間行われた。台湾・國立中央大學が貢献している太陽系のソフトウェアーの部分についての講演を無事に終え、ロブスターとビールを存分に楽しんだ。

Harvard1Boston1Lobster

9月4日; JunkStage第二回舞台公演に参加

これまで「講演」は山ほど行って来たが、初めて「公演」なるものに参加させていただいた。しかし、いくら歌って弾ける天文学者といっても、舞台で人様にお見せできるようなものではない。今回は、舞台の外の展示コーナーで、天文学者・阿部新助のプロフィール映像を上映するというパフォーマンスを行った。ボストンからの帰路、ニューヨーク・JFK国際空港でのトランジットと機上で作成したムービーだが、我ながらなかなかの(自己陶酔的な)出来栄え。この映像の短縮版を小生のホームページから見れるようにしたので、どうぞご覧ください。

http://nemesis.astro.ncu.edu.tw/~avell/

JunkStage1

公演会の打ち上げで使われたイタリアンの店にまた行ってみたいのですが、店の名前を失念してしました。スタッフの方、どうかお知らせください。→ 無事に行って来ました。

10月11-11月17日; ハワイ(オアフ島)

ハワイ大学にて仕事をしてきた。あまり詳しくは書けないが、今回は、我々がハワイで使っている移動天体(小惑星や彗星)の位置推算-軌道決定システムの中で使っていて、アメリカの法律で輸出が禁止されているNASA-JPLの天体軌道計算モジュールを、フリーな別の軌道計算プログラムに置き換える作業を重点的に行った。軌道決定精度はJPLのものと同じなので、今後はJPLに頼らずに惑星の重力摂動を考慮した太陽系天体の軌道決定を(台湾で)計算できるようにする予定である。また、地球接近小惑星(NEO)の研究議論に基づくシミュレーションと論文執筆も行った有意義な滞在であった。その他の収穫としては、毎週末はサーフィン三昧であったので、まだまだ下手ながら、波乗りができるようになった。これで、インターネットがなくてもサーフィンが楽しめる。グリーン・フラッシュ(写真)も2回拝めた。ハナウマベイの野生の亀(寅次郎と命名)にも1年振りに再会できた。元気に餌(珊瑚?)を食べていた。

Hawaii09-1TurtleAstroHaleGreen Flash

11月20-23日; 一時帰国予定。

目的は、以下の研究会の招待講師として、東大で「講演」を行う。参加は誰でも自由(アマチュア天文家の方々も参加可能)、参加費無料。

では、台北への搭乗時間ですので、これにて失礼。今宵は、しし座流星群の極大です!

第6回 始源天体研究会 の御案内

小惑星/彗星/流星といった始源的な小天体は、太陽系の初期状態とその後の進化を研究する上で非常に重要です。しかしながら、その研究手法は地上からの望遠鏡による観測,隕石や惑星間塵の分析,惑星形成/破壊過程の数値計算,実験室での衝突破壊実験と多岐に渡り、分野間の連携は必ずしも十分とは言えませんでした。また近年では、探査機が小天体に赴き,その場観測やサンプル採取を行うようになっており、今後も Rosetta, Dawn, Stardust NeXT、はやぶさ2 といった小天体探査が続々と行われます。そこで、日本惑星科学会小天体探査研究会では、従来の研究分野間の垣根を取払い、今後の小天体探査をいかにすすめるべきかを議論するための場として、以下のとおり 始源天体研究会を開催いたします。みなさま、振るってご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時:2009年11月20日 10時〜18時
場所:東京大学総合研究博物館
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/information/map.html
主催:日本惑星科学会 小天体探査研究会
後援:日本鉱物科学会, 日本地球化学会, 日本スペースガード協会

プログラム (時間が表示してない講演は30分)

セッション1 10:00〜12:00
木下大輔(台湾中央大)「ふたご座流星群母天体 Phaethon と 2005 UD の関連と表面の非一様性」
前田誠(神戸大学)     「Aqueous alteration in CM chondrites: Implications for early processes and environments of the CM parent bodies」
北里宏平(会津大)     「小天体探査候補天体の可視近赤外分光特性」
薮田ひかる(阪大)  「初期太陽系における有機物の化学進化:隕石研究かStardust ミッションまで」

セッション2 13:30〜15:15

藤原英明(東大)    「中間赤外線で探る太陽系外黄道光」
山本聡(環境研)   「衝突による始源天体の内部構造探査」
阿部新助(台湾中央大)「Pan-STARRSで探る近地球型小惑星の進化」
吉川真(JAXA)      「はやぶさ2の現状」(15分)

セッション3 15:30〜16:45
平田成(会津大)      「小惑星の地形学」
丸山智志(東大)       「イトカワ上の岩塊の分布から推定する内部構造」」15分
竹内洋人(東大)   「イトカワの岩塊表面に分布する高輝度スポット:形成過程と年代の推定」15分
中村良介(産総研) 「YORP効果が小惑星およびダストの自転・軌道進化に与える影響」 15分

全体討論 17:00〜18:00

2009/08/11

7月22日の皆既日蝕を観測するために、1週間ほど上海に行ってきた。豪雨をインターネット・ライブ中継するという惨憺たる結果に終わり、JunkStageへの記事投稿の意欲も完全に失せていた。

さて、台湾では台風を「颱風」という。小生の誕生記念日の8月9日に合わせて、2009年第8号台風「モーラコット」が台湾を直撃した。「モーラッコット」とは、タイ語で 「エメラルド」の意味。2000年以降のアジアの台風には、全て名前がついている。これは、世界気象機関・熱帯低気圧プログラムに属する、アジア・太平洋14か国・地域の気象機関で構成する台風委員会に提案された単語のリストから、提案された国の言葉のアルファベット順に選択される。人名に由来するハリケーンとは違い、動植物や自然現象に由来するものを中心に、多彩な名前が提案されている。日本の天気予報では、名前が紹介されているでしょうか?

2009年のこれまでの台風のリスト一覧

1号; クジラ (KUJIRA) : クジラ座 [日本]

2号; チャンホン (CHAN-HOM) : 木の名前 [ラオス]

3号; リンファ (LINFA) : はす(蓮) [マカオ]

4号; ナンカー (NANGKA) : 果物の名前 [マレーシア]

5号; ソウデロア (SOUDELOR) : 伝説上の酋長 [ミクロネシア]

6号; モラヴェ (MOLAVE) : 木の名前 [フィリピン]

7号; コーニー (GONI) : 白鳥 [韓国]

8号; モーラコット (MORAKOT) : エメラルド [タイ]

9号; アータウ (ETAU) : 嵐雲 [米国]

MTSAT090807MTSAT(来台の前日のモーラコット)


9号アータウは、岡山県と兵庫県を中心に、30名以上の死者行方不明者を出したが、8号モーラコットは、台湾中南部を中心に、1000名以上の死者行方不明者を出した。小生が普段天文台へ行く時に使う南投縣・水里-集集間の16, 21号線は、走行中の7台の車と共に川に押し流された。台東の温泉街で有名な知本では、川岸から50メートル離れたホテルが、増水した濁流に飲み込まれて倒壊。甲仙小林村は、村ごと土石流で流されて1000人以上が行方不明だ。

台湾の台風は凄まじいので、台風が来ると仕事が休みになる!

台風が来ると、台湾政府は、ニュースやインターネットを通じて、翌日の仕事や学校の休みを地域毎に告知する。結局、金土の2日間が公の休み(停止上班上課)になったが、小生が住む桃園縣は、停滞する台風の眼の中にいたので、時々降る集中豪雨と強い風、短時間の停電程度で済んだ。一方、國立中央大學の鹿林天文台がある阿里山では、3000mm近く(約3メートル)の豪雨が降った。これは日本の平均年間降水量の1.5倍もの量の雨が一度に降ったことになる。天文台のある阿里山へ通じる全ての道路は、複数箇所で土石流で埋っており、山岳地帯は二次災害も起こり得る危険な状態のため、観測に向うことは断念した。昨夏小生は、天文台に滞在中に台風に見舞われ、帰路が土石流で無くなり4日間ほど孤立したことがある。仕事だけでなく、趣味でも台湾の山岳地域によく向うので、気象情報には、いつも気をつけている。

中時電子報ダイジェスト;http://www.youtube.com/user/ChinaTimes

今、台湾に必要なのは、義援金である。

日本交流協会が緊急支援金として1000万円の支援を発表した。

日本政府からも台湾への正式な支援を求む!

さて、気を取り直して、豪雨の上海皆既日蝕記を近日中に投稿します。以上、生存報告でした。

05:47 | 台湾 | No Comments
2009/06/26

先週末から1週間ほど、台北のうだる暑さから逃れ、台湾南部の玉山國立公園内の鹿林(ルーリン)山の山頂にいる。○鹿と煙と天文学者は高い所が好きだと言われるが、まさにここが鹿○山である。鹿山天文台は、1998年に國立中央大學が建設した天文台である。2002年秋には、台湾最大の望遠鏡である口径1メートル望遠鏡が完成し、2003年より一般に公開され、公募で採択された課題研究の観測が開始。延べ20ヶ国以上の国々から研究者が訪れている。また、Taiwan-America Occultation Survey(TAOS)の口径50cmロボット望遠鏡4台も設置され、掩蔽による太陽系外縁部天体(カイパーベルト天体)の観測も行われ、幾つかの大きな成果がこの天文台より生み出されてきた。今年最も明るくなった「鹿林彗星(Comet C/2007 N3 (Lulin)」は、我々のグループのサーベイで発見された彗星だ。口径2-m望遠鏡どドームも新たに建設中である。

LulinMap鹿林天文台

國立中央大學から車で約5時間。駐車場から更に徒歩で20-30分ほど登ってようやく、標高2862メートルの天文台に到着。昨年はここを3回訪れ、7月の滞在中に巨大な台風「カルマエギ(KALMAEGI)」の直撃を食らい、100年に1度の大雨(約1000mm)で、巨大な土石流が発生し、帰路を失った小生らも天文台で4日間孤立した。厭な予感がしていたのだが、今回も台風3号「リンファ(LINFA)」に襲われた。幸い2日間の暴風雨に襲われただけで済んだが、台湾の台風は発生してすぐにやってくるので、日本の台風の威力に比べると遥かに強力で侮れない。毎回台風が近づくと、国民の休日が発令されて、自宅待機となるほどだ。

MilkyWay-1

さて、台風が去り、念願の星空に巡り会えた。ここは、北回帰線のほぼ真上。緯度でいうとハワイ諸島とほぼ同じであり、南天の宝石「南十字星」も楽に見えてしまう。日本からは見えない南天の天の川も、ここでは天高く登る。観測のルーチンを設定して、漆黒の闇夜に出ると、息をのむような天の川が龍の如く天高く立ち昇る。銀河中心から遥々3万年掛けてやってきた僅かな光の響宴が、束となって台湾の鹿林山に降り注ぐ。大袈裟ではなく「天の川が眩しい!」。

MilkyWay-2銀河中心の円盤が大きく広がっているのが肉眼でも分かる。

しばしの「天の川浴」を楽しみ、再び望遠鏡制御室に戻って観測を継続。今回のターゲット(小惑星)は、天の川の近くにあり、最初は見つけるのも一苦労だった。天の川の距離に比べると、小惑星なんてたかだか数億キロメートルと非常に近いなぁ、などと考えつつ、淡々とコンピュータを通して、望遠鏡をコントロールして観測をこなしていく。ようやく天候に恵まれ、初めて分光観測(光を虹色に分けて組成などを調べる)を遂行できたので、試行錯誤しながらの観測だったが、晴天夜2日目には自分なりの観測ルーチンを確立して、ずまずのデータを取得できた。

LOT-2

観測中の望遠鏡ドーム内部と制御室で観測中の小生。技官が観測を手伝ってくれる。

こんな山中だと、色々と不便もあったりするのだが、人間は美味いものを食べていれば居心地が良いのだと思う。鹿山天文台では、4名の原住民が働いており、1週間交代で2名が滞在しながら、インフラ整備や台湾料理も作ってくれる。彼らの手料理が、また美味い。更に今回は、マンゴー、ライチ、パイナップルなどが花を添え、食後のデザートにも大満足であった。

晩飯ある日の晩飯。

夜空が白む頃に観測を終え、校正データを取得して外に出ると、鹿林山よりも遥かに巨大な山系が朝日を背に鎮座している。台湾最高峰、標高3952メートルの玉山(ゆいさん)である。新高山(にいたかやま)と言った方が日本人には馴染みがあるだろう(真珠湾攻撃のGoサインの暗号にも使われた)。日本統治時代に、明治天皇により「新しい日本最高峰」の意味で新高山と名づけられた。台湾の険しい山岳路の多くは、日本統治時代に開拓され、至る所に和名が残っている。富士山級の山が、九州程度の台湾島に20座もある台湾は、まさに山大国である。山登りを好み、日本のアルプスやスイスのマッターホルン、スロベニアのトリグラフなどの世界中の山々を登ってきた小生の今年の目標は、あの「新高山」である。

朝焼玉山玉山東峰(左;3869 m)と主峰(右;3952 m)。

天の川の光と台湾の山々から鋭気をもらい、これから下山 & 長距離ドライブだ。7月5−10日に観測のために再びここを訪れる。

2009/06/18

既に猛暑の台湾、今日は34℃とうだる暑さである。さて、そんな台湾で熱いモノの代表と言えば「火鍋」と「温泉」である。世界で最も温泉密度の高い台湾全土には、100以上もの温源が沸々と湧き、その歴史も100年以上である。日本はもとより、チェコ、ハンガリー、ドイツ、(クロアチア)などの温泉街(やヌーディスト・ビーチ)を巡る程の温泉好きである小生にとって、台湾はまさに温泉天国。ほぼ毎週のように温泉地を巡っている。台北周辺では、北投、新北投、陽明山、烏来などの温泉場が有名で、何度か足を運んだ。台湾の温泉文化は、日本統治時代に日本人が温泉を整備して広めたものが多い。我々日本人にとっては、故郷の心地良さを感じる。しかし、こちらでは「裸=野蛮」という概念がある(あった)ため、水着着用の混浴温泉も多い。最近は、ようやく「裸の付き合い」の文化が定着してきて、台湾でも裸で入れる風呂が増えて来たようだ。さすがに、まだ裸の混浴には出会っていないが。

台灣温泉 台湾の温泉風景。水着着用の混浴風呂(北投温泉にの「広告看板」を撮影)。

さて、先週は、現在韓国で働くチェコ時代の友人(旅する物理屋さん)が遊びにきたので、台湾の東部へ1泊2日700kmの男二人旅に出た。

Taiwan East車で移動した行程(往復700km)

まずは、台湾のグランドキャニオン、「太魯閣(タロコ)國家公園」 へ車で向った。太魯閣(タロコ)とは原住民、タイヤル族の首長の名に由来する。入り口では、原住民族の阿美族の子供達に迎えられた。

 

アミ族台湾人口(2300万人)の約2%は原住民である。日本統治時代には高砂族と呼ばれていた。アミ族が18万人と最も多く、タイヤル族の8万人がこれに次ぐ。小生の友人の約10%は原住民で、先日は、彼らの住む山岳の村に滞在した。

台湾島は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの狭間で、年間5.5mmずつ上昇している、世界で最も隆起速度が大きな場所として知られている。南北約38㎞、東西約41㎞の巨大な國立公園は、2000m〜3000m級の山々が、まさに海から切り立った壁の様に連なって形成されており、見事な断層があらわに目の前に聳えたっていた。日本近海では、未だ4000メートルの海底に沈んでいる年代の断層が、ここでは地上遥か上まで龍のごとく出現している。地質屋が喜ぶのもうなづける。切り立った岩壁をえぐって作られた道路が続く。いつ落石があるか、ハラハラのドライブ。前を行く観光バスは、天井の岩壁に接するような状態で進む。
太魯閣1太魯閣3太魯閣4九州ほどの台湾島で、こんな壮大な景観を楽しめるとは意外であった。長野県の乗鞍を思わせるが、その急峻さと自然美は、台湾の方が数段上である。

地球の息吹を思いっきり満喫した我々が向った温泉は、太魯閣の奥にある文山温泉。

1914年、台湾総督府が原住民族のタロコ族を討伐するタロコ討伐の最中、日本兵部隊の深水少佐が発見したことから、深水温泉と呼ばれた。大北投温泉と改称された後に、文山温泉という名称に至った。
大沙(タウサイ)渓のほとりから湧き出すという立地条件のため、大雨の後は川が運んできた土砂が堆積することから、太魯閣国家公園管理所が2001年に改修を行った。安全設備を充実させ、観光客の利便をはかり、天祥晶華酒店が維持補修を行っていた。

まずは、入り口を探すのに一苦労。ガイドブックの写真と照らし合わせながら、トンネンルの横にそれらしき入り口を発見。でも誰もいない。おかしいなぁ。すると、立て看板には、温泉への路が寸断されている為、立ち入り禁止と書いてあった。

文山温泉

しかし、小生は、やる気満々で温泉道具をリュックにつめて向った。立ち入り禁止の立て看板を通り越すと、さっそく土砂崩れで路が塞がっていた。

旅する物理屋さん; 「なんかここに線香がありますよ」
「なんかあったんじゃないすか!! ここ!!」「絶対なんかあったんすよ!!」
と躊躇してなかなかやって来ない。

旅する天文学者; 「そういうのは、気にしない方がいいっすよ」
と土砂崩れ現場を颯爽と乗り越えて行く。

旅する物理屋さんも渋々あとをついてきた。渓谷へ降りて行くと、そこには立派な脱衣場が現れた。しかし、そこからは、ものすご〜く厭な感じが背筋を凍らせた。脱衣場には近づかないようにして通り過ぎると、岩のトンネルがあり、トンネルの中には鉄格子がはめられてあり、そこか先にある吊り橋へは進めなかった。彼はトンネルには入って来なかった。渓谷を覗くと、川の脇に岩で仕切られた温泉場が見えたが、温泉は出ていない様子。さすがに、崖を降りて行くことはできないし、温泉も出ていないようなので、諦めて退散することにした。帰路も、ものすご〜く厭な気を背後に感じながら渓谷から上がってきた。

旅する物理屋さん; 「あべちゃん霊感があるけど、なんか感じなかった?」

旅する天文学者; 「ものすご〜く、イヤな感じがしたね。特にあの脱衣場」

旅する物理屋さん; 「やっぱそうだったんだ。絶対なんかあったんすよここ」「まだ足の震えが止まらないすよ。。。」

彼は、撮影した全ての写真をその場で消去していた。小生も何か写っていると厭なので、脱衣場とトンネルの写真だけは消しておいた。

その夜、ホテルのインターネットで調べると、

2005年4月3日16時半ころ、土砂崩れが発生して多くの観光客が巻き込まれ、2人が死亡5人が負傷した。それ以降、文山温泉は閉鎖され今日に至っている。

とのことだった。何かに引き寄せられるように、危ない場所に行っていた訳である。

通行止めになった生々しい落石現場も通過した。ここ(九曲洞遊歩道)では、つい2週間前に日本人らが怪我をする落石事故が発生していたことを後で知った。

九曲洞遊歩道 通行止めになっていた九曲洞遊歩道

九曲洞遊歩道ではは4月末から5月末にかけての一ヶ月間に落石 による事故が4件起きており、太魯閣國立公園管理處は五月の初めから、九曲洞遊歩道において無料でヘルメットを提供し、安全指導を強化すると同時に、地質 専門の張石角教授に有効な措置の構想を委託するなど積極的に解決策を模索しています。

太魯閣國立公園はその壮麗な高山と峡谷の景観を見ようと多くの 訪問客が訪れますが、常に自然落石のリスクが存在しており、特に地形の嶮しい太魯閣峡谷は落石の危険が高い地域です。みなさんも訪れる時は、以下のウェブの情報を調べてから気をつけて行動してください。http://www.taroko.gov.tw/

その晩は、花蓮市内のChinatrust Hotel(中信大飯店)のSPAで霊気を追い払った。
中信大飯店

翌日は、更に南下して別の温泉へ。

途中、東台湾最大の内陸湖である「鯉魚潭」に寄ったが、偶然にも、カヌーポロの国際大会を観戦。そんな競技があることを初めて知った。昨夜泊まったホテルに大量にいた日本人、体格の良いラテン系、アラブ系、東洋系が戦っていた。なかなかハードなスポーツであった。
鯉魚潭

更に進むと、突如
校長夢工廠(Principals’ Dream Factory) という看板に遭遇。これは、トンデモ系かもしれんが、何かあるなと感じた我々は、迷わず看板の案内にある花蓮県鳳林市に乗り込んだ。そこでは、予想外の貴重な時間を過ごすことができた。校長夢工場は、日本人が遥々来たということで、ちょっとした騒ぎになった。105名の校長先生を排出した台湾で最も校長密度が高いその村で、片言の日本語を話すボランティアガイドの案内で1時間以上を過ごすことになったのであった。。。。。。恐るべし校長パワー。
校長夢工場校長夢工場

校長に捕まってタイムロスをした我々は、北回帰線制覇は諦めて、本日のメインである紅葉温泉と瑞穂温泉へ向った。そこは、貸し切り状態で、最高の露天風呂を楽しむことができ、満足のいく一時を過ごした。

紅葉温泉(120元)。サラサラとした泉質。

紅葉温泉1紅葉温泉

風呂上がりでまったりしていたら、地元の人達が、原住民の酒「小米焼酒」を分けてくれた。「小米酒」は原住民の酒として有名だが、焼酒の方は初めて飲んだ。濁り酒の部類と感じた。

小米焼酒

風呂上がりで飲んだ、椰子ジュース。店のオヤジは車で来るなり、ベンチで昼寝開始。
おっ昼寝に来たのかと思っていたけど、小生らが椰子を満載した車に近づくと突如起き上がって、商売商売。

旅する物理屋さんは「高いからいらねぇ」と言ったけど、小生は3本100元で購入して二人で飲んだ。以前飲んだ椰子ジュースは、ぬるくて不味かったが、ここのは冷やしてあって悪くは無かった。それにしても、あのやる気無しオヤジが超ご機嫌になった、そのギャップが台湾人らしくて面白かった。やれやれだぜ〜(JoJo風に)・・・
瑞穂温泉(150元)。泉質は、神戸の有馬温泉の金泉と同じらしい。

瑞穂温泉瑞穂温泉2

個人的には、紅葉温泉の方が、雰囲気的にも寛げて良かった。一方、瑞穂温泉は、泉質は良いのだが、風呂全体の作りに風情が無い。もっとやり方を帰れば、有馬温泉のように有名になるのではないかと思った。

貸し切りでとても良かったのだが、経営が成り立っているのか疑問でもあったが、こういう田舎の温泉は静かで良いものである。

最近自宅から車で5分の場所に、天然温泉が掘られて温泉・プール・ジム&宿泊施設が誕生した。台湾のアパート住宅では、通常バスタブはなく、シャワーが一般的であるため、湯船につかれる施設が自宅近くに出来たのは幸運である。さっそく会員になって、仕事帰りに温泉でリラックスしている。

02:38 | 台湾, | No Comments
2009/04/01

先週より再びハワイに来ております。ハワイ・マウイ島に建設されたPan-STARRS(パンスターズ)望遠鏡が、3月中旬より試験稼働しているからです(ニュートン4月号参照)。

我々は、MOPS(Moving Object Processing System)を使い、太陽系移動天体の同定と軌道決定を行っており、特に小生らは、MOPSが見つけた天体の中から「特異」な天体の警報を出す「MOPS Alert System」の仕事も行っています。

ハワイの望遠鏡で取得されたデータは、IPP(Image Processing Pipeline)を通してMOPSへ送られ、MOPSで処理されたデータベースは、太平洋を渡り、台湾・國立中央大學の MOPS Alert Server へ伝送され、日々発見される数百数千の新たな小天体の中から特異な天体の情報のみが、クライアント(個人のPCや電子メール)へ送られる仕組みです。謎の第9惑星Planet-Xや、太陽系の外から飛び込んで来た放物線軌道天体なども、この網に引っ掛かるようにセットしてあります。

そして今朝、小生の3G携帯に「特異天体アラート・メール」が届き、目が覚めました。

MOID < 0.005 AU  というメッセージだった。

MOID とは、The Minimum Orbital Intersection Distance (最接近可能距離) のことで、地球の場合、衝突危険の可能性を評価する指標に使われます。MOID値が0.05 AU (75万km; 月までの距離の約2倍)以下 だと、地球に衝突する可能性が比較的高い天体と判定され、これらの天体のうち、直径が150m以上(絶対等級H<22等, 反射率を0.13と仮定した時の直径)の小惑星は「地球破壊危険性天体 (PHA=Potentially Hazardous Asteroid)」と定義されます。PHAは、今日現在までに1049個見つかっており、特に注意深く監視されています。

JPL(NASA) NEO Program

我々の MOPS Alert System は、PHAよりも地球に衝突する危険性が極めて高い(MOID<0.005=75,000km~静止軌道衛星の倍程度の)天体のみをピックアップして知らせてくれるように設計されています。

さて、またかと思いながら、眠気まなこでデータを見て目を疑いました。

MOID = 0.00001 AU = 1,500 km

地球半径の6400kmも小さい、つまり、地球に確実に衝突する天体 (RHO = Reliable Hazardous Object)を意味していたのです。これは、昨年2008年10月7日に地球に衝突し、先ほど隕石として発見された小惑星2008TC3 ( 資料1資料2 )に次ぐ RHO の発見です。すぐに、JPL-NASA、MPC(Minor Planet Center)に連絡を入れ、さらに、6時間の時差がある台湾・鹿林天文台に連絡し(ハワイが朝を迎えるとき、台湾は夜を迎える)、フォローアップ観測を実施しました。そして、衝撃の事実が明らかになったのです。小惑星2008TC3は、直径が2〜5m (絶対等級 30.9等)とミニ小惑星でしたが、今回発見された地球衝突天体の絶対等級は14.09等と非常に明るい、つまり反射率を 0.25-0.05と仮定して直径を推定すると、なんと4〜9kmにもなることが分かったのです。これは、地球全体に核の冬をもたらし、生命を根絶するに十分な大きさのインパクター(衝突天体)です。

更に、フォローアップ観測データを用い、その軌道を吟味したところ、日本(ISAS/JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が2005年に探査した小惑星イトカワと類似していることが分かりました。平均直径300m程の小惑星イトカワは、今回発見された小惑星の分裂天体であることが推測されます。実際に小惑星イトカワも地球の軌道に接近する近地球型天体(NEO)であり、地球への衝突確率が100万年に1回程度であること、イトカワ起源の隕石火球が存在することも分かっていました。

現在、NASA-JPLのチームと共に解析を急ぎ、地球に衝突する正確な日時と場所の特定を行っています。現時点で言えるのは、衝突するまでには、約20年の猶予があるということ。それまでに何らかの対策を行う時間があるということです。もちろん、その対策は、我々天文学者の仕事の範疇を越えています。国家レベル、そして、地球レベルでの対策が必要になります。地球を守る目的のため、世界が一致団結する「世界天文年2009」に相応しい取り組みになることが期待されます。

また、来年2010年6月には、小惑星イトカワのサンプルを捕獲した(と期待される)探査機「はやぶさ」が地球(オーストラリアの砂漠)に帰還します。分裂天体のサンプルから、親玉を倒す何らかの情報が得られることも期待されます。

さてこの小惑星は、「アベマゲドン(Abemageddon )」と命名されました。アベマゲドンは、善と悪の最終決戦が行われた場所。神とイエスが降臨し、キリスト教の教えに忠実に生きてきた善人のみを救い出し、千年王国をつくりだす、いわゆる最後の審判の場所であり、ヘブライ語で「アベルの丘」を意味します。

アベマゲドンに関する更に詳しい情報は、数日中にNASA-JPLを通じて発表があると思います。

Impactor

以上、1日遅れているハワイより送る 2009年4月1日 のニュースでした。

※ かなり現実味を帯びた(近い将来起こりうる)エイプリルフールですのでご安心ください。

3/22-5/1 ; ハワイ(オアフ島)滞在中。

追伸、

ハワイ大学天文研究所(IfA)の一般公開が、4月5日(日) 11:00-16:00 に行われます。

お気軽にご参加ください。ここには書けない本当の話が聞けますよ!

IfA Open House

詳しくは、こちらをどうぞ。

案内; http://www.ifa.hawaii.edu/open-house/open-house.shtml

場所; http://www.ifa.hawaii.edu/open-house/map.htm

2009/03/03

さて、前回は、世界天文年や太陽系惑星定義(冥王星事件)について触れましたが、皆さんが住むこの太陽系も新たな局面を迎えようとしています。そんな記事を特集した「ニュートン(Newton) 4月号」”新太陽系” が全国書店で発売中です。ニュートン4月号の中では、現在我々が取り組んでいるプロジェクト「パンスターズ(Pan-STARRS)」についての記事が掲載されています。世界中の天文学者が注目する画期的な巨大プロジェクトなのですが、こんな面白いプロジェクトに参加していない日本ではあまり知られていないので、今回ニュートン編集部が取り上げてくれたことで、国内でも認知度が上がると期待しています。

Newton April, 2009

小生は、同インタヴュー記事に登場する、ロバート・ジェディキ教授(ハワイ大学天文研究所)らといっしょに、太陽系移動天体処理ソフトウェアー「MOPS」に関する仕事を行っており、記事中には小生(阿部新助)の名も何度か登場しています。カナダ人の彼は、元アメフト・プロ選手、元ソフトウェアーエンジニアという異色の経歴の持ち主で、強靭な肉体とリーダーシップでチームをまとめています。つい先週は、彼を含む外国人研究者6名を台湾・國立中央大學に招待して「パンスターズ・太陽系国際ワークショップ」を開催し、成功裏に終えました。

PS1 SS Workshop in Taiwan太陽系を塗り替える面々。(中央奥が筆者)

台湾は、国際協力のやり方がうまくて、世界中の巨大プロジェクトに投資をしながら、参画しています。これは、相手方ブランド(OEM)のパーツとしてシェアを広げてきたパソコン市場への台湾の参入方法に似ていると感じます。例えば、同ニュートン誌に掲載されている「すばる望遠鏡次世代主焦点カメラ HSC(協力; 宮崎聡准教授(国立天文台))」についても、昨秋に台湾・中央研究院天文及天文物理研究所(ASIAA)が巨額を負担し、国立天文台-台湾(ASIAA)-プリンストン大学の共同プロジェクトに進展しました。お陰で我々も台湾側の太陽系メンバーとして(日本側の太陽系代表; 吉田二美博士(国立天文台))参加できることになりました。口径8.2メートルのすばる望遠鏡と、世界最大となるCCDの組み合わせにより、広範囲を26〜28等級の暗さまで観測を行います。いよいよ本当の太陽系の果てであるオールト雲天体も検出できるのではと考えています。先行するパンスターズでの経験を生かして貢献したいと考えています。

さて、ニュートンの同記事の協力者に名を連ねる木下大輔さんは、大学院時代(総合研究大学院大学/国立天文台)の同じ研究室の後輩であり、5年前に台湾に渡り既に流暢な中国語(國語)を話す彼と共に、台湾の太陽系をリードしていっしょに仕事をしています。我々の先頭に立つ國立中央大學・天文研究所のイプ教授(前副学長)は、米国、ドイツにおいて、宇宙プラズマ、天体力学に関する太陽系科学の第一線で活躍してきた研究者で、アジアで最も有名な(Nature,Science論文数が最も多いアジア人)太陽系・天文学者です。今回のニュートン「新太陽系」を監修している渡部潤一准教授(国立天文台)は、阿部&木下の大学院時代の共通のボス(生活指導までして頂いたので、我々は「親方」と呼んでいる)であり、「新太陽系」特集記事・協力の向井正教授(神戸大学大学院理学研究科)は、昨年まで在籍していた神戸大学でのボス、そしてハワイでのボスがロバート・ジェディキ教授です。更に、ニュートン編集長の水谷仁さん(元ISAS教授)とは、宇宙研時代に同じ固体惑星グループにて懇意にさせて頂いていました。

研究の内容も然ることながら、こんな素晴らしい人々との繫がりの輪に加わり、最もエキサイティングな太陽系の知の最前線で仕事ができることに感謝しつつ、パイオニア的な成果を出せるように邁進したい!

追伸、

12月中旬から毎朝8時から大學の中国語の授業を受けている。毎日2時間の受講で2ヶ月が経過したが、なかなか話すレベルには到達しない。以前、チェコに住んでいた時は、プラハにあるチェコ語の夜間学校に3ヶ月ほど通った経験があり、言語を学ぶコツは知っているのだが、なかなかそれに割く時間がないのが悩ましい。当初6名いた外国人受講生は、小生を含め2名にまで減ってしまった。まあ、地道に頑張っていこうと思う。

言葉もままならない状態ではあるものの、台湾で車を購入した。鈴木SWIFT(1500cc, 2006年式)。鈴木は、生産を台湾国内で行っているので、サポートなども充実している。スクーターの嵐に囲まれ、日本では考えられないような(危険で暗黙の)交通ルールに従いながら、果敢に運転している。人生4台目の愛車(全て中古車、SWIFTは初のオートマ車)で、台湾生活をますます楽しめそう。。

Suzuki SWIFT

Peugeot 206 S16Skoda FeliciaCallora FX-GT

« Previous | Next »