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2012/07/13

先週、新しいコラムを更新しなかったので(ごめんなさいです)、今月これからは、週刊より短めのペースで更新していきたいと思っています。

というわけで、まずはバンドのライブ告知から(今回の投稿を「やっつけ」てやろう感、満載…)。

良い感じでフライヤーができました♪

ぼくらのバンド『3-4-3』(さん-よん-さん)の主催ライブイベントです(音源はこちら)。開催は9月7日(金)。もう夏も終わってしまったころですが、まだまだ残暑も残っているだろう、ということで、キャッチーかなと思いまして、イベントタイトルを『bossa nova で夕涼み♪』としてみました。

…。

『bossa nova』って大きくうたっちゃいましたが、実をいうとぼくら、言うほどボサノヴァでもなかったりするんですけどね…(言っちゃった…)。

ガットギターがサウンドの中心、という点では、結構ボサノヴァっぽいです。

人から「どんな音楽やってるんですか?」と聞かれると、「ボサノヴァっぽいかな…」と、答えたりはします(最終的には胸を張って「JーPOP(オリジナルの)」と答えますが…)。

ところで、ボサノヴァってなんなんでしょうか…。

まあ、いろんな捉え方があるとは思いますが、ぼく的には、以下の極論に共感しています。

「ジョアン・ジルベルトだけがボサノヴァで、それ以外はサンバ」。

これはある意味、純ブラジル音楽の中だけで捉えた考え方ともいえます。純ブラジル以外の音楽、例えばアメリカのジャズやポップス、ヨーロッパのジャズやポップス、日本のポップスに至るまで、ボサノバっぽい音楽、曲は結構ありますが、それらはそもそも『サンバ』でもなかったりしますし…。

というわけで、ぼくは純ブラジルの音楽が好きなので、本当は自分たちの音楽を『ボサノヴァ』と言ってしまうことに、恐れ多さを感じています。ご多分にもれず、『サンバ』でない曲も多いですし。

でも、まあ、いっか、と…。夏だし(ライブのころには、夏は終わってますけど…)。

深みにはまりそうですが、ボサノヴァの歴史について、ちょっとだけ踏み込んでみますね。

ボサノヴァのそもそもの誕生は、1958年にブラジルで発表された曲『シェガ ジ サウダージ』によって、とされています。

作詞/ヴィニシウス・ジ・モライス
作曲/アントニオ・カルロス・ジョビン
歌・ギター/ジョアン・ジルベルト

しかしこの曲を持ってしても、音楽的な分析でみると、あくまでサンバと同じ(または、サンバの一形態)と言うこともできるんですね。

しかし、なぜこれがサンバと呼ばれず、ボサノヴァと呼ばれたかと言うと、ジョアン・ジルベルトのギターの奏法が新しかったから、という感じです(感じ、とか、あやふやに逃げてすみません…)。

乱暴に言ってしまうと、ギター1本でサンバを、それも新しい感覚で演奏する的な奏法を、ジョアンは生み出したわけです。

この曲のシングルや、この曲が収められたアルバムは、当時のブラジルでは結構なセールスを記録したようで、それから数年間は『ボサノヴァ』が流行したようです。ブラジルで。

といっても、どの程度の流行かは、ちょっと疑問が残るところではあります。一部のインテリ学生やお金持ちの間で、というニュアンスも感じています。

ちなみに、アメリカでブームとなるのは、1962年以降(それ以前にもジャズミュージシャンの中で、ブラジルの音楽を取り入れる的な動きは始まっていたのですが)。

「カーネギーホール」という場所で、ブラジルのボサノヴァ派の人達が大勢でコンサートを開いたらしいです。

そのなかには、ジョアン・ジルベルトもいましたし、セルジオ・メンデスもいたようです。

セル・メンなどは、これを1つのきっかけとして、後にアメリカで(世界で)成功を収めます。

ジョアン自身にとっても、スタン・ゲッツとのアルバム「ゲッツ・ジルベルト」の録音のきっかけとなります。

このアルバムがきっかけで、かの「イパネマの娘」という曲は、世界に広まっていきます。

ちなにみ、このアルバムのレコーディングで、ジョアンはゲッツのプレイが相当にお気に召さなかったようで、現場でもゲッツのことをけちょんけちょんに言っていた、という逸話をよく目にします。

しかしジョアンはポルトガル語で文句を言っていて、ゲッツもポル語が分からないので、レコーディングに参加していたアントニオ・カルロス・ジョビンが英語で通訳。

「ジョアンは、あなたのサックスは最高だ、と言っている」

こうして、このアルバムは出来上がったとか…。

こうしてボサノヴァは世界に広まっていくわけですが、その過程で、ボサノヴァの雰囲気が、いろいろと形を変えて世界に広まっていった、と、ぼくは解釈しています。ぼく的には、それらはボサノヴァとは区別して考えています…。

ところでぼくらは、ボサノヴァよりむしろ、それ以後(1960年代後半)にブラジルで誕生した『MPB』とカテゴライズされている音楽からの影響のほうが色濃いです(ホントかな…)。

『MPB』とは、ムジカ・ポプラール・ブラジレイラの略で、ブラジルのポピュラー音楽、という意味です。

まあ、ポップス、です。しかし、サンバやボサノヴァに対するリスペクトがあって、リズム、あとメロディの感覚なんかが他の国のポップスとはひと味違っていて、ぐっときます。コード感も結構複雑です。

普通に聴けば、「もろにボサノヴァじゃね?」という感じの曲も多々あったりします(先の極論で言えば、もろにサンバ、というわけですが…)。

ただ、もっとも面白かったのは90年代ですかね…。最近は、新しいものがあんまり出て来ていない印象です(ぼくが探求を弱めてしまっているから、なのかも知れないですが…)。

…。

お茶を濁す的にすませようと思いつつ、こんな文章でも相当に時間を使ってしまいました…(自分比)。

結論です。

9月7日は、ボサノヴァ気分を感じに、ライブにお足をお運びください。

ゲストアーティストの『naminote』(なみのーと)さんは、ぼくら以上にブラジルの音楽に対して造詣が深く、そしてぼくら以上にピュアな、オリジナルのサウンドを聴かせてくださいます。そして、ぼくらより相当に十二分に、ボサノヴァを堪能することが出来ると思います。

『naminote』さんを迎えるからこそ、イベントタイトルに『bossa nova』を使うことを決心できたのです。

そんなこんなで、ぼくは今日もラッパを吹いて暮らしています。

2012/07/13 12:44 | ohta | No Comments